#11 『本人確認』

 

 

【登場人物】

 

ポチ・・・アリスのお家の人間の言葉を喋(しゃべ)る超・高ビーな天才ニャンコ

 

銀行の行員

 

 

 

 

 

銀行の窓口にて・・・

 

 

ポチが、必要事項をチャンと書き込み、印鑑を押した預金引き出し用紙と預金通帳を出して言った。

 

「これたのまぁ」

 

行員が聞いた。

 

「ご本人様に間違いございませんね?」

 

「え!?

 

一瞬、ポチは驚いた。

そんな事を聞かれるとは思っていなかったからだった。

この予想外の出来事に慌てているポチを不審に思い、行員が再度確認した。

 

「ご本人様に間違いございませんね?」

 

それを聞き、

 

「チョ、チョッくら待っててくれ」

 

ポチが慌てて銀行を飛び出し、近くのコンビニのトイレに駆け込んだ。

手洗い場の鏡に映った自分のお顔を見た。

すぐさまダッシュで先ほどの窓口に戻って来た。

そして言った。

 

「間違いねぇ」

 

って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ケケケケケ!!

 

 

 

 

 

 

#11 『本人確認』 お・す・ま・ひ

 

 

 

 

 

 

#12 『手術室にて』

 

 

【登場人物】

 

ポチ・・・アリスのお家の人間の言葉を喋(しゃべ)る超・高ビーな天才ニャンコ

 

医者

 

 

 

 

 

病院の手術室にて・・・

 

 

ポチが執刀医(しっとうい)に言った。

 

「俺様、手術受けんの今日が初めてなんだぜ」

 

執刀医が聞いた。

 

「だから?」

 

「オゥ!? だ、だから・・・。 だからチョッピリ・・・。 こ、こえぇぜ」

 

「お気持ちは良〜く分ります」

 

「そ、そうか。 そいつぁ、嬉しいぜ」

 

「はい。 実を申しますと、手術するのは私も今日が始めてですから」

 

「え!?

 

「・・・」

 

「ウ〜ム」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ケケケケケ!!

 

 

 

 

 

 

#12 『手術室にて』 お・す・ま・ひ

 

 

 

 

 

 

#13 『睡眠薬』

 

 

【登場人物】

 

ポチ・・・アリスのお家の人間の言葉を喋(しゃべ)る超・高ビーな天才ニャンコ

 

田原アリス・・・ポチの飼い主

 

 

 

 

 

あの手術の日以来(#12)・・・

 

 

ポチは不眠症に苦しんでいた。

仕方がないので病院で睡眠薬をもらい、それを飲んでから眠るようになっていた。

 

そんなある日・・・

 

ポチの寝床にアリスがやって来た。

眠っているポチを起して、アリスが言った。

 

「ポチー!! ポチー!! 起きてー!! 起きてー!! 睡眠薬飲む時間だょー!!

 

って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ケケケケケ!!

 

 

 

 

 

 

#13 『睡眠薬』 お・す・ま・ひ

 

 

 

 

 

 

#14 『天地創造』

 

 

【登場人物】

 

ポチ・・・アリスのお家の人間の言葉を喋(しゃべ)る超・高ビーな天才ニャンコ

 

神様

 

 

 

 

 

ある日・・・

 

 

ポチが呟いた。

 

「フゥ〜。 やっと出来ちまったぜ、地球儀。 6週間も掛かっちまったヶどな。 でもょ、逆に考えりゃたったの6週間で作っちまったとも言える。 ウム。 ひょっとすっと俺様って、スゲェ猫様かも知れねぇな」

 

ポチは今、自力で地球儀を作り上げた所だった。

あの猫の手でだ。

肉球プッくらの。

 

すると、天から声がした。

 

「これこれポチょ。 そのような増上慢(ぞうじょうまん)を起すでない」

 

「ん!? 誰だ?」

 

頭を上げ、ポチが声のした天に向かって聞いた。

するとその声はこう答えた。

 

「神様じゃ」

 

そぅ。

 

その声の主は神様だった。

 

「え!? 神様?」

 

「そうじゃ、神様じゃ」

 

「神様って何だ?」

 

「神様は神様じゃ!! 知っておらんのか?」

 

「あぁ、知ってね」

 

「『あぁ、知ってね』 とは、不届(ふとど)きな・・・」

 

「知ってなくっちゃ、いけねぇのか?」

 

「い、否。 い、い、いけなくはない」

 

「なら、いいじゃねぇか」

 

「ま・・・。 ま、そうじゃの」

 

「で!? その神様とやらが俺様に何の用だ?」

 

「おー、おー、そうじゃったそうじゃった。 忘れとった忘れとった。 あのなぁ、ポチ」

 

「何だ?」

 

「オヌシ。 上には上がある、ちゅー事を知っておるか?」

 

「上には上?」

 

「そうじゃ」

 

「知ってね」

 

「そうか知ってないか」

 

「あぁ、知ってね」

 

「良し!! ならば教えちゃる」

 

「何をだ?」

 

「上には上をだ」

 

「フ〜ン。 上には上をか」

 

「そうじゃ」

 

「良し!! 教わっちゃる。 言ってみろ」

 

「なら、ポチょ。 良〜く聞くのじゃ」

 

「おぅおぅ。 聞いちゃる聞いちゃる」

 

「ウム。 オヌシが今、作り終えたその地球儀じゃが」

 

「フムフム」

 

「オヌシが作るだけで6週間も掛かった事を、ワシャ、たったの6日(むいか)で行(おこの)ぅたのじゃ。 しかも地球だけでのぅて、全ての宇宙をじゃ。 それをたったの6日でワシは創り上げたのじゃ。 これを天地創造と言ふ」

 

「フムフム。 天地創造かぁ」

 

「そうじゃ、天地創造じゃ。 どうじゃ。 凄いじゃろ」

 

「あぁ、スゲェ。 確かにスゲェ」

 

「これが、上には上という事じゃ。 分ったか?」

 

「あぁ、分った。 確かに分ったぞ、神様とやら」

 

「ウム。 宜しい。 ならば何が分かったか申してみよ」 

 

「あぁ。 申してやる。 俺様が作るだけで6週間も掛かっちまった事を、アンタはたったの6日でやっちまったって話だ。 それも地球だけじゃなくて宇宙まで創っちまったって話だ」

 

「その通りじゃ」

 

「ウムウム」

 

ポチが然(さ)も 『納得致しました』 つー感じで頷いた。

だが、それでいて意味あり気に続けた。

 

「だからだょな」

 

すると神様が聞き返した。

 

「ん!? 何がじゃ?」

 

「あぁ。 今、世界中がこ〜んなに乱れちゃったり天変地異だらけなのは・・・」

 

ここで一旦、ポチが言葉を切った。

そして徐(おもむろ)にこう付け加えた。

 

「たったの6日でだなんて、アンタがそんなに雑に世界を創っちまったからだ」

 

「え!?

 

「・・・」

 

「ウ〜ム」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ケケケケケ!!

 

 

 

 

 

 

#14 『天地創造』 お・す・ま・ひ

 

 

 

 

 

 

#15 『最高の預言者モーゼのように』

 

 

【登場人物】

 

ポチ・・・アリスのお家の人間の言葉を喋(しゃべ)る超・高ビーな天才ニャンコ

 

田原アリス・・・ポチの飼い主

 

神様

 

有栖川呑屋コマル・・・当ブログ管理人

 

 

 

 

 

「なぁ、アリス。 お前この頃変だぜ」

 

コマルがアリスに言った。

 

「どこが?」

 

アリスが聞いた。

 

「だって、お前この頃、ポチと一緒にお風呂入んねぇじゃん」

 

「うん」

 

「どしてだ? 何かあったんか? ポチが H な事すっとか・・・?」

 

「うぅん。 H な事だなんて・・・。 ポチそんな事しないょ」

 

「じゃ、何でだ?」

 

「うん。 ポチったらね。 こないだね、神様とお喋りしたんだって」

 

「え!? 神様とお喋り?」

 

「うん。 そしたらね、神様にね、えらく見込まれちゃんったんだって」

 

「えらく見込まれた?」

 

「うん。 それでね。 ポチが言うにはね。 神様に 『ポチょ。 ソチは中々、見所がある。 よって、ソチを最高の預言者モーゼのようにしちゃる』 って、そう言われちゃったんだって」

 

「最高の預言者モーゼのように?」

 

「そ。 最高の預言者モーゼのように」

 

「いい事じゃん」

 

「それがチッとも良くないの」

 

「ナゼ?」

 

「うん。 その日以来、ポチったらね」

 

「あぁ」

 

「湯船に浸かれなくなっちゃたの」

 

「湯船に?」

 

「そ。 湯船に」

 

「何で?」

 

「うん。 その日以来、ポチがね。 ポチが湯船に手をかざすとね」

 

「あぁ」

 

「お湯が左右に割れちゃうの。 だからポチとは一緒に、お風呂入れないんだょ」

 

「・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ケケケケケ!!

 

 

 

 

 

 

#15 『最高の預言者モーゼのように』 お・す・ま・ひ