#6 『世界で一番大きいお歌』

 

 

【登場人物】

 

ポチ・・・アリスのお家の人間の言葉を喋(しゃべ)る超・高ビーな天才ニャンコ

 

田原アリス・・・ポチの飼い主

 

有栖川呑屋コマル・・・当ブログ管理人

 

豊臣秀吉

 

前田利家

 

徳川家康

 

上杉景勝

 

蒲生氏郷(がもう・うじさと)

 

曾呂利新左衛門(そろり・しんざえもん)

 

 

 

 

 

 

昔々・・・

 

!?

 

戦国時代・・・

 

!?

 

文禄の役の頃(15921598年)・・・

 

!?

 

お、は、な、し。。。

 

 

 

朝鮮半島をその主戦場として日本対明・朝鮮連合軍の激しい戦闘が行われている最中(さなか)。

 

 

大本営・名護屋の陣において

 

 

それまでナゼかヒマを持て余していた太閤・豊臣秀吉がぼやいた。

 

「退屈じゃのう。 な〜んも、する事ないのぅ」

 

って。

そこで名護屋在陣の並み居る武将達に、こんな提案をした。

 

「遠征軍のみ戦わせておくのも何じゃ。 我等も戦(たたこ)ぅてみようではないか」

 

これを聞き、加賀尾山城(金沢城)城主・前田利家が驚いた。

ここからは秀吉と利家の会話である。

 

「え!? 『戦(たたこ)ぅ』!? ま、まさか、殺し合いを?」

 

「アホぬかせ!! 戦(たたこ)ぅと言うても歌合戦じゃ!! 歌合戦!! 歌合戦を致すのじゃ。 退屈しのぎにのぅ。 今宵は、皆、競って歌を詠むのじゃ」

 

「歌? 歌を詠むのでござるか?」

 

「そうじゃ。 歌じゃ。 狂歌を詠むのじゃ」

 

「狂歌を?」

 

「そうじゃ、狂歌じゃ。 じゃが、普通の狂歌では興(きょう)がない。 よってじゃ。 よって、最も大いなる狂歌を読むのじゃ」

 

「大いなる狂歌とは?」

 

「一番大きな歌じゃ」

 

ここで秀吉が武将達の方に向き直った。

 

「一番大きな歌を詠(うと)ぅた者には、望みのままに褒美を取らす。 誰(たれ)ぞ!? 誰ぞおらぬか、歌を詠む者は・・・」

 

「よっしゃー!!

 

「まかしとかんかい!!

 

「ドスコイ!!

 

 ・・・

 

暇を持て余していた武将達は、一様に大喜びだ。

暇つぶしには格好だったからである。

 

「では先ず、某(それがし)から」

 

いち早く名乗りを上げたのは、武蔵国(むさしのくに)江戸城城主・徳川家康だった。

これを聞き、秀吉が喜んだ。

 

「おぉ。 誰(たれ)ぞと思へば家康殿か。 そうかそうか、家康殿か。 いやはやいやはや、これは楽しみじゃ楽しみじゃ」

 

「それでは先ず、某が一句・・・」

 

そう言って、真っ先に家康が詠んだ。

 

『武蔵野に 咲きはびこりし梅の花 天地に響く 鶯の声』

 

秀吉が大いに感服した。

 

「おうおう。 これはこれは素晴らしい。 大きく時節柄を詠まれた。 家康殿は武蔵野が大層お気に入りのようじゃ」

 

「真(まっこと)、良き所でござる」

 

「うんうん。 それはそれは。 大いに結構大いに結構」

 

秀吉は満足げに笑った。

 

そしてこの家康の歌が呼び水となった。

 

「では、某も一句、大きな歌をば献上致す」

 

そう言って、先ほどの前田利家が進み出た。

 

『富士山を 枕になして寝てみれば 足は堅田の浦にこそあれ』

 

この歌を聞き、

 

「ぅわは、ぅわは。 ぅわっ、はははは・・・。 デーダラボッチか! デーダラボッチか!! いいぞいいぞ!! 良ぅ詠んだ! 良ぅ詠んだ!! ワシャぁ、こういうのを待っておったんじゃ。 ぅわは、ぅわは。 ぅわっ、はははは・・・」

 

秀吉が大喜びした。

 

「ならば、某も」

 

今度は、越後春日山城城主・上杉景勝登場。

 

『須弥山(しゅみせん)に 腰うち掛けて眺(なが)むれば 雲の海原 目の下にあり』

 

「オォー!?

 

「これはこれは」

 

「これは大きい」

 

「なんとまぁ、これは大きい」

 

 ・・・

 

一同が感嘆の声を上げた。

 

すると、

 

「いやいや!? まだじゃまだじゃ!! まだまだ小さい。 これならどうじゃ」

 

会津若松城城主・蒲生氏郷(がもう・うじさと)が声を上げた。

こうなってくると最早、武将達の意地の張り合い、知能戦である。

氏郷が渾身の歌を詠んだ。

 

『須弥山に 掛けたる人を手に取りて ぐっと飲めども 喉に触らず』

 

「オォー!?

 

「何とふ大きさじゃー。 喉に触れぬとは・・・」

 

「この大きさは、想像もつかぬヮ」

 

「これじゃぁ、これじゃぁ。 これで仕舞いじゃぁ」

 

 ・・・

 

終に武将達が諸手(もろて)を上げての大喜びだ。

 

しかし、一人だけ。

そぅ、一人だけまだこの歓喜の輪に加わらぬ者がいた。

それは誰あろう秀吉だった。

秀吉はまだ物足りなかったのだ。

 

「何じゃ、お主達。 もう仕舞いか?」

 

「殿下。 最早、これ以上の歌は無理じゃ」

 

「そうじゃそうじゃ。 これで仕舞いじゃ」

 

「氏郷殿の勝ちじゃ」

 

 ・・・

 

武将達が口々にそう言った。

それを聞き、

 

「そうか。 これ以上はムリか。

 

 

つー、まー、りー、・・・

 

 

『無理ーーー!! 無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理ーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!

 

 

か。 ならば氏郷殿。 ソナタの勝ちといた・・・」

 

と、ここまで秀吉が言った時、

 

「お待ち下され!!

 

声がした。

秀吉が振り返った。

その秀吉の御伽衆(おとぎしゅう)・曽呂利新左衛門(そろり・しんざえもん)が進み出て来た。

 

「何じゃ? 新左(しんざ)? いかが致した?」

 

「ハッ!! ここは一つ、某も」

 

「ぬ!? ソチも詠むと申すか?」

 

「ハッ!! 殿のお許しが頂けるなら」

 

「おぉ、そうかそうか。 ソチがおったな。 構わぬ構わぬ。 詠んでみよ詠んでみよ」

 

「ハッ!! 有り難き幸せ。 では・・・」

 

そう言って、曽呂利新左衛門が詠んだ。

 

『須弥山に 掛けたる人を飲む人を 鼻毛の先で 吹き飛ばしけり』

 

「オォー!! なんとこれは・・・」」

 

「なんといふ大きさじゃ!?

 

「鼻毛の先とは・・・」

 

「これはもう・・・」

 

 ・・・

 

その場の武将達はもう、拍手喝采しての大喜び。

これには流石の秀吉も大満足だった。

 

「オォー!! 良し良し、新左衛門!! 見事じゃ見事じゃ!!

 

ここまで新左衛門に言ってから、秀吉が武将達に聞いた。

 

「他に誰(たれ)ぞある? これに挑む者は?」

 

すると、

 

「いやぁ、それはもう無理じゃ」

 

「そうじゃ、もう無理じゃ」

 

「そうじゃそうじゃ。 これ以上のものはもう無理じゃ」

 

 ・・・

 

口々にそう言って武将達が皆、新左衛門の勝ちを認めた。

 

「ならば、この勝負・・・。新左衛門の勝ちと致す」

 

秀吉が新左衛門の勝利宣言をした。

 

だがその時・・・

 

そこに、作者にとって凄〜く、凄〜〜く、凄〜〜〜く、超〜〜〜〜、超〜〜〜〜〜、超〜〜〜〜〜〜、都合良〜〜〜〜〜〜〜〜く、ポチがタイムスリップして来た。

アリスとコマルも一緒に。

そしてポチが秀吉に言った。

 

「あいや待たれい!!

 

秀吉が振り返った。

 

「ぬ!? な、なにヤツ!?

 

再び、ポチが言った。

 

「この勝負、まだまだでござる」

 

これを聞き、

 

「オォー!? ね、猫がー!? ね、ね、猫が喋ったー!?

 

その場が大騒ぎになった。

 

「しゃ、喋る猫!?

 

「よ、妖怪変化か!?

 

「おのれ妖怪!? 成敗致してくれる!!

 

 ・・・

 

居並ぶ武将達は皆、刀に手を掛け、身構えた。

ポチ達を妖怪変化と思ったのだ。

無理もない。

猫が喋ったのだから。

しかもアリスとコマルの出(い)で立ちは、秀吉達の全く見慣れぬ現代風。

 

しかしここで・・・

 

その場の騒ぎを制するように、先ずアリスが一歩前に歩み出ながら意味あり気にこう言った。

 

「『ぬ!? な、なにヤツ!?』 と、聞かれたら」

 

続いてコマル登場。

コマルも一歩、前に出た。

 

「答えてあげよう明日のため」

 

以下順に、

 

(アリス) 「フューチャー。 白い未来は茜色(あかねいろ)」

 

(コマル) 「ユニバース。 黒い世界に精子の鉄チン」

 

(ポチ) 「われらこの血でその名を汚す」

 

(アリス) 「情熱の墓石(はかいし)・・・アリス」

 

(コマル) 「暗黒のチン情・・・コマル」

 

(ポチ) 「無限に小せぇ・・・ポチ」

 

(一緒に) 「さぁ集え! アリスのお家の名のもとに!!

 

!?

 

アリス、コマル、ポチがもったいぶって口上を述べた。

ポケモンのロケット団登場シーンっぽくだ。

 

そして何が何やら訳が全く分らず、メガンテ 否 目が点状態の秀吉達に、間髪(かんはつ)を入れず、

 

「しからば、ここは某がお締め致そう」

 

そう決め台詞をほざき、ポチが一句、歌を詠んだ。

勿論、一番大きい歌だ。

 

『須弥山に 掛けたる人を飲む人を 飛ばせし人を もみ潰したり』

 

と。

 

この瞬間・・・

 

勝負あったー!?

 

ここを以って終に、勝負あったのである。

どう見てもポチの勝ちである。

 

そして、

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

 ・・・

 

その場には誰一人として声を出す者はいなかった。

否、声を出す事さえ出来なかったのだ。

ひたすら沈黙する以外・・・何も。

その原因は、それこそ数ある名だたる武将達が突然現れた、それでいて実に詰まらんどこの馬の骨とも分からんたった一匹の猫に負けたからだ。

あの頓知の大家、曽呂利新左衛門ですら歯が立たなかったからだ。

その場は、目が点状態が続いているだけだった。

 

そして・・・

 

その落胆して目が点状態の秀吉や武将達を尻目に、コマルは思った。

 

『もみ潰すって・・・。 あの手でポチは一体、どうやって???』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

って。

 

 

 

 

 

 

#6 『世界で一番大きいお歌』 お・す・ま・ひ

 

 

 

 

 

 

#7 『夢1』

 

 

【登場人物】

 

ポチ・・・アリスのお家の人間の言葉を喋(しゃべ)る超・高ビーな天才ニャンコ

 

田原アリス・・・ポチの飼い主

 

 

 

 

 

その晩、午後9時。

 

ポチは床(とこ)に着いた。

中々眠れなかった。

アリスに頼んで明かりを消してもらった。

それでも眠れなかった。

羊の数を数え、体をよじり、何度も寝返りを打った。

しかし眠れない。

再びアリスに頼んで明かりを点けてもらい、一緒にハリー・ポッターのDVDを見た。

ついでに、これ又一緒にその日の夕刊にもザァーっと目を通した。

だが、

却って目が冴えてしまった。

仕方がないのでウンチをしにお外に出た。

ウンチをしている時、

 

「ピッコーーーン!!

 

閃いた。

 

『そうだ!? 走り回ってくたびれりゃいいんだ。 そしたら眠れる!!

 

そしてポチはヘトヘトになるまで走り回った。

 

!?

 

逆効果だった。

体が興奮状態に入り、益々目が冴えてしまったのだ。

 

『イライライライライラ・・・』

 

ポチがイライラし始めた。

 

“眠りたいのに眠れないモード突入!?

 

だからだ。

しかし、

 

「ピッコーーーン!!

 

再び、閃いた。

 

『そうだ!? 腹いっぱいになれば眠くなるんだ!! ヨッシャー!!

 

そう思った次の瞬間、

 

「ダァーーー!!

 

ダッシュでお家に戻り、アリスに頼んだ。

 

「アリスぅ。 俺様〜、腹減っちゃったょ〜。 だからミルクくれ〜。 な、ミルク」

 

「仕様がないなぁ、ポチったら。 今頃ミルクだなんて。 何時だと思ってんの・・・」

 

そうは言いながらもアリスはポチのために、冷蔵庫からミルクを出して来てポチ皿に注いだ。

 

「ピチャピチャピチャ。 ミルクうんめぇ。 ピチャピチャピチャ・・・。 あぁ!? うんめぇ。 ピチャピチャピチャ・・・。 」

 

そう言いながら、ポチは何度もオカワリした。

いつもの3倍飲んだ。

 

『フゥ〜。 まー、んー、ぷー、くー』

 

腹が一杯になった。

だが、全く効果なし。

全然眠くなって来ない。

 

『イライライライライラ・・・』

 

ポチのイライラは止まらない。

 

又またアリスに頼んで、本を読んでもらった。

さっき見たDVDと同じハリー・ポッターを。

ポチはハリー・ポッターが大好きなのだ。

それでも眠くならない。

 

「アリスぅ〜。 ハリー・ポッターはもういいから、子守唄歌ってくれ。 な!? 子守唄」

 

今度は、子守唄をねだった。

繰り返し何度も歌ってもらった。

 

でも〜。

 

全く効き目なし。

 

『イライライライライラ・・・』

 

ポチのイライラは益々酷くなった。

 

その時、

 

「グゥー、キュルルルル」

 

ポチのお腹(なか)が鳴った。

 

『下痢だ!?

 

そぅ、ミルクの飲み過ぎでポチは腹(はら)を下したのだった。

ポチは焦った。

 

「ダァーーー!!

 

慌ててダッシュでお家の外に飛び出した。

危うく漏れそうになりながらも、ダイジョブだった。

微妙なタイミングでのセーフだった。

お庭に出ると直ぐ、

 

「シャーーー!!

 

オシッコのようなウンチをした。

 

『フゥ〜。 間に合った〜。 あぶねぇとこだったぜ・・・』

 

出したてのウンチに後ろ足で土を掛けた後、ポチはホッとして空を見上げた。

既に、夜は白々明け始めていた。

もう5時を回っていたのだ。

当然、朝の。

それでも、全然眠くなって来ない。

終に、

 

『イライライライライラ・・・』

 

ポチのイライラが頂点に達した。

最早、これまで。

ポチの我慢が限界を越えた。

ポチが絶叫した。

 

「バッカ野郎ーーー!!

 

って。

 

その瞬間・・・

 

『ハッ!?

 

ポチの目が覚めた。

ポチは夢を見ていたのだ。

 

『全く眠れない』

 

という・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢を。。。

 

 

 

 

 

 

#7 『夢1』 お・す・ま・ひ

 

 

 

 

 

 

#8 『夢2』

 

 

【登場人物】

 

ポチ・・・アリスのお家の人間の言葉を喋(しゃべ)る超・高ビーな天才ニャンコ

 

田原アリス・・・ポチの飼い主

 

 

 

 

 

ある晩、ポチは自分がヘビになった夢を見た。

そこで目が覚めた。

するとポチは、

 

自分が、

 

『ヘビになった夢を見たポチなのか』

 

それとも、

 

『ポチになった夢を見たヘビなのか』

 

分らなくなっていた。

 

その時・・・

 

「ポチおいで!! 今、テレビでポチの好きなハリー・ポッターやってるょ」

 

自分を呼ぶアリスの声がした。

 

瞬間、

 

「ピッコーーーン!!

 

ポチは閃いた。

 

『あ!? そっかー!!

 

って。

 

そぅ・・・

 

ポチは気が付いたのだ。

 

映画の中でハリー・ポッターがなったヘビに、夢の中で自分がなっていた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

という事に。

 

 

 

 

 

 

#8 『夢2』 お・す・ま・ひ

 

 

 

 

 

 

#9 『カラスとフクロウ』

 

 

【登場人物】

 

ポチ・・・アリスのお家の人間の言葉を喋(しゃべ)る超・高ビーな天才ニャンコ

 

カラス

 

 

 

 

 

 ♪

  あるぅ朝 ポチさんが〜 お散歩を していると 一羽の カラスに 出くわし〜た

  ラララ、ランランランランラ〜ン

  ラララ、ランランランランラン

 ♪

 

 

「オゥ!? ポチじゃねぇか」

 

「オゥ!? カラスじゃねぇか。 こんなトコで何してんだ? ん?」

 

「まぁ、な。 これ見てたのょ」

 

カラスが羽で鳥落(とりおとし)用の鳥もちを指し示した。

 

「ん!? 何だ〜、これ?」

 

「鳥落用の罠だ」

 

「鳥落用の罠? 何だ〜、それ?」

 

「コイツぁな、人間どもが俺達鳥を捕まえるための仕掛けなんだ」

 

「フ〜ン」

 

「バッカじゃねぇのー!? こ〜んな見え見えの罠仕掛けるな〜んて、な。 オメェもそう思うだろ。 な、ポチ」

 

「あぁ。 ホ〜ント見え見えだな。 よっぽどの馬鹿じゃねぇ限り、引っ掛かんねぇな、こ〜んな見え見えの罠」

 

「あぁ。 こんな見え見えの罠に引っ掛かるのは俺ら鳥の中でもあのアホのフクロウぐれぇだ。 夜っきゃ現れねぇ」

 

「おぅ、そうかもな。 うんじゃ、まぁ。 用があっから、俺様はこれで」

 

「あぁ、又な」

 

「オゥ!!

 

そう言って、そこでポチはカラスと分かれた。

 

 

 ♪

  あるぅ晩 ポチさんが〜 お散歩から 帰って来ると 一羽の カラスに 出くわし〜た

  ラララ、ランランランランラ〜ン

  ラララ、ランランランランラン

 ♪

 

 

帰り道・・・

 

ポチは驚いた。

先ほどのカラスが、先ほどの鳥落用の鳥もちに掛かっていたからだ。

 

「お!? どしたぁ! カラスぅ!! そ〜んな、見え見えの罠に引っ掛かっちまって」

 

「それがなぁ、ポチ。 俺ら鳥は日が暮れると目が見えなくなっちまうんだ。 だからだ」

 

「だょなぁ。 日が暮れてそ〜んな見え見えに引っ掛かんねぇのは、あのアホのフクロウぐれえだもんなぁ。 夜行性の・・・」

 

「あぁ、そうだ」

 

 

 

 

 

 

#9 『カラスとフクロウ』 お・す・ま・ひ

 

 

 

 

 

 

#10 『愛犬家』

 

 

【登場人物】

 

ポチ・・・アリスのお家の人間の言葉を喋(しゃべ)る超・高ビーな天才ニャンコ

 

 

 

 

 

 

ある日・・・

 

 

ポチは世界には大変な愛犬家がいて、犬を食べてしまうという話を聞いた。

“食べたくて食べるのではなく、愛犬が死んだ時、そのあまりの愛情のために食べてしまう” という内容だった。

ポチは思った。

 

『フ〜ン。 そんな事が・・・。 でも、それって、恐ろしい話だな』

 

後日・・・

 

ポチは世界には大変な愛犬家がいて、犬を食べてしまうという話を聞いた。

“痛めつけて殺せば殺すほど美味くなる” という内容だった。

ポチは思った。

 

『フ〜ン。 そんな事が・・・。 でも、それって、恐ろしい話だな』

 

そして、こうも思った。

 

『フゥ〜。 俺様、犬じゃなくって良かったゼ』

 

その時・・・

 

近所のお家から、

 

「ペンペンペンペンペン・・・」

 

三味線の音が聞こえて来た。

その音を聞き、

 

「ニャア!!

 

思わずポチが鳴いた。

 

 

 

 

 

 

三味線に・・・

 

 

 

 

 

 

猫の皮は欠かせない。

 

 

 

 

 

 

#10 『愛犬家』 お・す・ま・ひ