#61 『願い事』



【登場人物】


ポチ大明神


ある夫婦






ある所に・・・



今年、共に還暦を迎えたある夫婦がいた。

還暦と結婚40周年を記念して全国各地の神社めぐりをしていた。

ここ 『ポチ神社』 もその内の一つだった。

その夫婦が仲良く並んで賽銭箱に賽銭を投げ込み、カランカランと鈴を鳴らし、パンパンと拍手(かしわで)を打ち、両手手の平を合わせて拝んだ。


そこへ・・・


突然、ポチ大明神が姿を現した。

ポチ大明神がその夫婦に言った。


「二人共、中々感心である。 よって、各自一つずつ望みをかなえてやろう。 なんでも良い、申してみよ」


半信半疑で妻が願いを言った。


「出来る事なら、結婚前の若さに戻りたいです」


すると・・・


この願いを言い終わるか、終わらぬ内に、みるみる妻は二十歳(はたち)の若さを取り戻した。

それを見て、夫は歓喜した。

ホントに妻が若返ったからだ。


『こ、こ、これは・・・。 こ、こ、こんな事が本当に・・・。 な、な、ならば俺も・・・』


そう思って、夫が喜び勇んで願いを言った。


40才年下の女房が欲しい!!


瞬間・・・


夫は・・・・・・・・・・100才の年寄りになった。











「ケケケケケ!!







#61 『願い事』 お・す・ま・ひ







#62 『直人のお遍路』



【登場人物】


ポチ・・・アリスのお家の人間の言葉を喋(しゃべ)る超・高ビーな天才ニャンコ


菅直人(かん・ちょくと)・・・売国人(ばいこくんど)  マヌケ  通称・アホ  元・某国草履(ぞうり)大臣のトンマお遍路


菅溝子(かん・どぶこ)・・・直人の妻






ある日・・・



菅直人が妻の溝子(どぶこ)を連れ、これまでの悪政のお詫(わび)び行脚(あんぎゃ)と次期衆院総選挙の必勝祈願を兼ね、四国の札所をお遍路していた。

007番札所・ポチ寺に着いた時、ふとした弾みでそれまで被っていた菅笠(すげがさ)が落ちてしまった。

この頃、ちとボケ始めていた直人はそれに気付かなかった。

その様子を見て、溝子がほざいた。


「アナタ、笠が落ちたわょ」


これを聞き、直人が即座に溝子を窘(たしな)めた。


「選挙の必勝祈願に来て 『落ちる』 は縁起が悪い。 『勝つ』 と言いなさい」


「そうね。 そうだったゎね、アナタ。 これから気を付けるゎ」


「ウム」


一言頷いて、直人が笠を拾い上げ、再びそれを被り、落ちないように顎紐を固く縛った。

これを見て溝子が安心してほざいた。


「これでもぅ、絶対に勝つ事はなくなりましたね」


って。


「・・・」











「ケケケケケ!!







#62 『直人のお遍路』 お・す・ま・ひ







#63 『コマル大明神登場』



【登場人物】


ポチ・・・アリスのお家の人間の言葉を喋(しゃべ)る超・高ビーな天才ニャンコ


コマル大明神






ある日・・・



ポチがお家の近くをブラブラしていた。

近所のゴミ捨て場に小汚いランプが捨てられているのが目に入った。

それを拾い上げ、お家に持って帰り、汚れを落として綺麗にしようと布でこすった。


すると・・・


ランプの口から煙がモアモアと立ち上ったかと思うと、その煙がコマル大明神に変わった。

コマル大明神がポチに聞いた。


「オメェか? 今、ランプこすってオイラを呼び出したのは?」


「オ、オゥ!!


吃驚仰天して腰を抜かしていたポチがそれを認めた。

再び、コマル大明神が聞いた。


「オイラを呼び出しちまった以上、覚悟は出来てんな?」


「か、覚悟?」


「おぅょ、覚悟ょ」


「ど、どんな?」


「願い事を三つ言わなきゃなんねぇ覚悟ょ」


「そ、そういうの・・・覚悟って言うんか?」


「ん!? 言わねぇか?」


「おぅ」


「言い方間違ったか?」


「と、思うぜ」


「そっかー。 ま!? いいゃ。 早く願い事を三つ言え」


「ぉ、おぅ。 そうか、三つな・・・三つ」


「そうだ、三つだ」


「んじゃ。 先ず始めに、俺様を大金持ちにしてくれ」


「おっし、分かった」


コマル大明神がそう言ったが早いか、アリスのお家が一瞬にしてアリスの大豪邸に変わり、部屋中金の延べ棒だらけになった。

それを見て、


「ォ、オォー!? ス、スゲェじゃん!?


ポチはビックラこいた。


「二つ目はなんだ?」


透かさずコマル大明神が聞いた。


「ントー!? んじゃ、人間だ! 人間!! 人間だーーー!! 俺様をレオナルド・デカプリオみてぇな超カッチョいい人間に変えてくれ」


即座に、ポチの姿がレオナルド・デカプリオみたいな超カッチョいいヤツに変わった。


「ォ、オォー!? ス、スゲェ〜〜〜!?


鏡に映った己の姿を見てポチが大喜びした。

そのポチにコマル大明神が命令した。


「三つ目を言え」


「そ、そうだな。 ぅんじゃ、まぁ。 一生働かねぇでも済むようにしてくれ」


その瞬間、全てが元に戻った。

勿論、ポチの姿も。


アリスのペットのニャンコのポチは、働く必要はなかったのだ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・全く。











「ケケケケケ!!







#63 『コマル大明神登場』 お・す・ま・ひ







#64 『賭け』



【登場人物】


ポチ・・・アリスのお家の人間の言葉を喋(しゃべ)る超・高ビーな天才ニャンコ


死神・苦竜(クリュウ)


鳩山ポッポ・・・酷俗(こくぞく)  危地害  通称・バカ  『立てば災厄 座れば害悪 知能程度は鳩ポッポ』






ここは潰れる前のポッポが経営していた居酒屋・・・ (注:ポッポはむか〜し、居酒屋の経営に失敗したラスイ)



ある晩、そこにポチが客として入って来た。

全く繁盛していないため、他の客はたったの一人もいなかった。

カウンター越しにポチが店員に声を掛けた。


「おぅ」


店員が振り返った。

ポッポだった。

たまたまその日、ポッポは潰れかけている自分の店を視察に来ていたのだった。

そしてカウンターの中に入っていたのだ。

そうとも知らずポチが言った。


「おぅ、オメェ」


「はい」


「俺様と賭けをする気はあるか?」


「どのような?」


「チョッときたねぇんだヶどもょ。 このカウンターにビールグラスを置いて、1メートル離れたトコからそのグラスの中に俺様がションベンを一滴漏らさず全部入れる。 もし一滴でも漏れたら俺様の負け。 で!? 俺様がオメェに1万円払う。 ただし、こぼれたションベンはオメェが拭く。 もし、俺様が勝ったらオメェから2万円もらう。 ってのは・・・どうだ? 俺様の他にだ〜れもいねぇし、一丁乗らねぇか?」


「お客様がお勝ちになりましたら、わたくしが1万円お支払いする。 というのなら・・・乗りましょう」


ポチのこの申し出に、銭(ぜに)に意地汚いポッポは喜んで乗った。


「うむ。 いいだろう。 それで決まりだ。 後で文句言うんじゃねぇぜ」


「はい。 申しません。 お客様も申されませんよぅ、お願い致します」


「おぅ。 当然じゃ」


ポッポがこの賭けに乗ったので、ポチがカウンターの上に飛び乗り、1メートル離れた位置にグラスを置いた。

そしてそこから狙いを付け、グラス目掛けてションベンをした。


結果は・・・


ポチの負けだった。


ポッポが嬉し気に一万円を握り締め、含み笑いを浮かべながらカウンターを奇麗に拭いている。


だが・・・


そのポッポの姿を見て、


「ゥワッ、ハハハハ・・・」


突然、ポチが笑い出した。

一瞬、ポッポの目が点になった。

そして聞いた。


「いかが致しました、お客様? そのように大笑いされて? 賭けにお負けになったというのに・・・」


腹を抱えながらポチが答えた。


「ゥワッ、ハハハハ・・・。 否、何。 これが笑わずにいられるかってんだ」


「?」


ポッポにはこの言葉の意味が分らなかった。

ポチが続けた。


「実を言うとな。 俺様はあるヤツと賭けをしたんだ。 10万円ほどな」


「・・・」


「この店のカウンターの上でションベンして、それをオメェに拭かせてみせるってな。 それもオメェが笑いながらだ。 で!? 俺様の勝ちって訳だ。 分ったか?」


「はい。 賭けをなさったというのは分りました。 でも・・・」


「でも?」


「はい。 その相手の方にお客様がお勝ちになったのがどうすれば分るのですか?」


「あぁ。 そんな事か」


「はい。 そんな事です」


「なら、簡単だ」


「・・・」


「ソイツはその場面を目撃しているからだ」


「え!?


「ソイツはここで一部始終を見ているからだ」


「?」


「ソイツはな。 ほれっ!? そこにいてオメェをジッと見てんだょ。 もっとも、オメェにゃ見えねえだろうヶどな。 ゥワッ、ハハハハハ・・・」


ポチがポッポのすぐ脇(わき)を見上げて言った。


「な。 俺様の言った通りになったろ。 な。 だから早く10万円よこしな、苦竜」


すると・・・


突然、空間から1万円札が10枚現れた。

それを目の当たりにして、ひたすら目をパチクリするだけのポッポであった。











「ケケケケケ!!







#64 『賭け』 お・す・ま・ひ







#65 『ポチとマージャン』



【登場人物】


ポチ・・・アリスのお家の人間の言葉を喋(しゃべ)る超・高ビーな天才ニャンコ


田原アリス・・・ポチの飼い主


死神・苦竜(クリュウ)


死神・翠旻(スイミン)


有栖川呑屋コマル・・・当ブログ管理人






ある日・・・



ポチ、アリス、苦竜、コマルの二人(アリス、コマル)と二匹(ポチ、苦竜)が仲良くマージャンをやっていた。

そこへ死神・翠旻がやって来た。

翠旻がマージャンをしているポチを見て驚いた。


「お!? ナ、ナント!? ネコがマージャンを・・・。 ナント利口なネコだ!?


すると苦竜がポチを指差して言った。


「あぁ、その通りだ。 コイツは大したヤツなんだ」


これにコマルが続いた。


「ヶど、上手くはねぇんだぜ」


更にアリスが。


「だってこの子・・・。 いい手が出来そうになると喉(のど)ゴロゴロ鳴らすから、直ぐに分かっちゃうの」


最後にポチが。


「ぉ、おぅ」


(翠旻) 「・・・」











「ケケケケケ!!







#65 『ポチとマージャン』 お・す・ま・ひ