Rick's Cafe Tokio (リックス・カフェ・トキオ)』 Deluxe #11




「フヮ〜ゥ」


一発、大欠伸(おお・あくび)こいて菅直人(かん・ちょくと)の目が覚めた。

四肢を大きく伸ばしてからユックリと上体を起こし、周りを見回した。


瞬間、


「え!? ェェェェエー!? こ、ここは!? ここはここはここはー!? おおお、俺ん家(ち)ーーー!?


ビックリして直人が思わずそう叫んだ。


そぅ・・・


そこはナゼか直人のお家だった。

そしてそこのベッドで寝ていたのだ。

反射的に、ガバッと直人が飛び起きた。


「お、おかしい!? たった今まで小磯雲竹斎とかいう超ー、キモ怪しいオッサンと一緒だったはずだー!?


興奮冷めやらぬ直人がそう叫びながら、訳も分からぬまま 『なんでも良(い)い、何かしなくちゃ!?』 という衝動に駆られ、何も考えず、ただ衝動的に半分眠気眼(はんぶん・ねむけまなこ)で部屋の窓に飛び付き、


「サァー!!


カーテンを勢い良く開けた。

外は暗かった。

それを見て、直人は自分が今、何をどうしたら良(よ)いのか全く分からず、


「よ、夜!? 夜だー!?


などと当たり前の事を口走ってみた。

全く思いも寄らない出来事に直面し完璧なまでに混乱している今の直人にしてみれば、なんでも良(い)いから何かしなければ気分が収まらず、間(ま)が持たないのだ。

そして何が起こったのか全く理解出来ぬまま、暫(しば)し直人はボケた頭で呆然と外の景色を眺めていた。

外は暗く、月や星を厚い雲が覆っていた。

ただ街灯の明かりが、時々通る車の他は人影の殆(ほとん)ど見られない道路を照らしているだけだった。

直人は何も考えずに、その街灯の明かりをボーっとした頭で眺めていた。

それが気分転換になったのか、若干興奮も冷め、少し落ち着きを取り戻す事が出来た。

それと同時に、


『ウ〜ム。 こ、これは一体・・・。 ウ〜ム。 一体どうなってるんだ・・・?』

 

直人の寝ぼけ頭もチョッと目覚め、思考能力も回復して来た。

そして、


『ん!? 時間!? 今何時だ?』


ベッドのヘッド部分に置いてある目覚まし用のデジタル時計を見た。

時刻は、午後1110分を表示していた。

日付は 『 Friday 』 の文字。

それを見て、


『金曜の夜!? しかも1110!? 時間は全く同じだ!? なら、今のアレは夢だったのか!? ウ〜ム。 ・・・』


少し考えてはみたものの全く埒(らち)が明(あ)かないので、


『ま。 考えてもムダかぁ。



、ま、り、・・・



『無駄ーーー!! 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!


かぁ』


そう思い直し、状況がつかめぬまま翌日が土曜で定休日という事もあり起きる時間を気にする必要もないので、


『もうチョイ眠るか・・・。 しっかし、今のアレは一体何だったんだ? 夢? ハァ〜。 それにしてもなんちゅうリアルな夢じゃ』


元々考えるのは大の苦手の直人、もうそれ以上考えるの止めて再び床に就(つ)いた。


時に・・・


菅直人(かん・ちょくと)25才、独身。

職業は弁理士。

勤務先は大田島(おおだじま)特許事務所。

そしてここは直人の自宅。

都心にある13階建の割りと高級な賃貸マンション。

その最上階の2LDK


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だった。











つづく







Rick's Cafe Tokio (リックス・カフェ・トキオ)』 Deluxe #11 お・す・ま・ひ







Rick's Cafe Tokio (リックス・カフェ・トキオ)』 Deluxe #0''




【主な登場人物】



小磯 雲竹斎 兼持(こいそ・うんちくさい・かねもち)・・・三頭身でハゲんちょデブの超ー、キ、ン、モ、イ、不気味なオッサン  女好きの道士

http://pocomaru.jugem.jp/?search=%BE%AE%B0%EB%B1%C0%C3%DD%BA%D8




                ★   ★   ★



菅直人(かん・ちょくと)・・・売国人(ばいこくんど)  マヌケ  通称・アホ  元・某国草履(ぞうり)大臣のトンマお遍路


    ?


    ?


    ?


    ?



                ★   ★   ★



リック・・・『 Rick's Cafe Tokio (リックス・カフェ・トキオ)』 のオーナー


ケン・・・リックの片腕



                ★   ★   ★



田原アリス


ポチ医者バージョン



                ★   ★   ★



奥村玄龍斎(おくむら・げんりゅうさい)



                ★   ★   ★









Rick's Cafe Tokio (リックス・カフェ・トキオ)』 Deluxe #12




「タタタタタ・・・」


角を慌ただしく走って曲がって来る人の気配を感じ、


「サッ!!


直人が立ち止まった。

そこへ、


「ダァ―!!


横から女が突っ込んで来た。

だが避(よ)ける間(ま)もなく、


「ドン!!


直人とぶつかった。


「キャッ!?


悲鳴を上げ、


「ドサッ!!


直人はなんともなかったが、女の方が直人に弾き飛ばされる形でその場に倒れ込んだ。


「あ!? 失礼!!


直人が謝り、急いでその女を助け起こそうと手を伸ばした。

その直人を倒れたまま見上げ、


「こちらこそ失礼しました」


女も詫びた。


ここは直人のマンションのゴミ捨て場。

直人がゴミ出ししようとしていた所へ、横からいきなりやはりゴミを抱えた女が駆け込んで来た。

その気配を感じ、直人が立ち止まった。

だが、避ける間もなくその出合い頭(がしら)、二人はぶつかってしまったのだった。


これは、暦の上で雲竹斎と出会った次の月曜の朝の出来事である。


「スゥ〜」


直人が顔を下げ、改めて女の顔を良〜く見た。

瞬間、


『ハッ!?


直人は驚いた。

そして、


「ピタッ!!


その場で、手を伸ばした状態のまま固まった。

目の前にビックリするぐらい自分の好みに合った女が倒れていたからだ。(顔は怒ブスだヶど・・・)

女は立ち上がろうとしていた。

直人はボーっとしてその女に見惚(みと)れていた。

だがすぐに我に返り、慌てて女に手を貸そうとした。

しかし首を振ってそれを断わり、女は自力で立ち上がった。


「いやぁ、気付きませんで済みませんでした」


もう一度、直人が詫びた。


「こちらこそ、慌てていたもので済みませんでした」


それは女もだった。

一瞬、二人は見つめ合った。

だがすぐに、


「あ!?


女が声を上げ、


「遅刻! 遅刻!! じゃ、失礼します」


そう言いながら、持って来ていたが転んだ拍子に落としてしまったゴミ袋を拾い上げ、


「バサッ!!


マンション据え付けのゴミ捨て用のポリタンクの中に放り込み、


「ダァーーー!!


ダッシュで逃げるようにその場を立ち去った。

反射的に、


「ダァーーー!!


気付いたら直人も女の後を追っていた。

そして、


「お、お名前を、お名前を教えて下さい!!


直人が自分でもビックリするぐらい大胆にその女の名前を聞くと、女は走りながら一瞬振り返って、


「悲鳴溝子(ひめい・どぶこ)です」


とその名を告げた。

そぅ。

その女はその名を、


『悲鳴溝子(ひめい・どぶこ)』


といった。



そしてそれが・・・











つづく







Rick's Cafe Tokio (リックス・カフェ・トキオ)』 Deluxe #12 お・す・ま・ひ







Rick's Cafe Tokio (リックス・カフェ・トキオ)』 Deluxe #13




直人と溝子(どぶこ)の運命の出会いだった。

それからというもの二人は偶然顔を合わせる機会が増え始め、やがてそれが頻繁になり、終には必然的に顔を合わせるようになって行った。

つまり付き合いが始まったという事だ。

勿論、恋人同士としての。

そして徐々に深まって行った二人の愛は、終に結婚という形で実を結んだ。


この時・・・


直人24歳。

溝子25歳の姉(あね)さん女房。

季節は冬の出来事であった。


これが転機となり、直人はそれまで勤めていた大島田特許事務所を辞め、独立して 『菅直人(かん・ちょくと)特許事務所』 を開設する事になった。

というのも直人とは違い、溝子は地方の名家の出で資産家の跡取り娘だった。

そんな嫁との結婚生活にはそれ相応の収入が必要。

そのため直人は溝子の実家の支援を受け、独立したのだった。

しかし、これは結婚話が進んで初めて分かったのだが、驚いた事に実は直人と溝子は従姉弟(いとこ)同士だった。

直人の父親と溝子の母親が兄妹だったのだ。

だが、ふとした行き違いから長い間この両家は関係が断絶しており、直人と溝子の結婚話が進んで初めて再び交流が始まったのだった。

それ故、それまで直人と溝子は互いが従姉弟同士だなどとは夢にも思わなかったのである。

これが運命の悪戯(いたずら)というヤツなのかも知れない。











つづく







Rick's Cafe Tokio (リックス・カフェ・トキオ)』 Deluxe #13 お・す・ま・ひ







Rick's Cafe Tokio (リックス・カフェ・トキオ)』 Deluxe #0'''




【主な登場人物】



小磯 雲竹斎 兼持(こいそ・うんちくさい・かねもち)・・・三頭身でハゲんちょデブの超ー、キ、ン、モ、イ、不気味なオッサン  女好きの道士

http://pocomaru.jugem.jp/?search=%BE%AE%B0%EB%B1%C0%C3%DD%BA%D8




                ★   ★   ★



菅直人(かん・ちょくと)・・・売国人(ばいこくんど)  マヌケ  通称・アホ  元・某国草履(ぞうり)大臣のトンマお遍路


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リック・・・『 Rick's Cafe Tokio (リックス・カフェ・トキオ)』 のオーナー


ケン・・・リックの片腕



                ★   ★   ★



田原アリス



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奥村玄龍斎(おくむら・げんりゅうさい)



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悲鳴溝子(ひめい・どぶこ)・・・ゲス女  菅直人のかぁちゃん







Rick's Cafe Tokio (リックス・カフェ・トキオ)』 Deluxe #14




直人の新婚生活が始まった。

だが、特に新居は構えなかった。

というのも、元々二人は同じマンションの住人。

そして互いにそのマンションを気に入っていた。

よって、特に新居を構える必要を感じなかったのだ。

尤(もっと)も賃貸物件ではあったのだが、そのマンションは。

だから当座はそれまで通り、その二部屋を使う事にした。

幸いそのマンションは 『事務所可』 だったので、それまで直人が使っていた部屋を事務所として使用し、生活は溝子の部屋で、という具合に。

そして直人の 『菅直人(かん・ちょくと)特許事務所』 は幸運にも成功し、それまでとは違いかなりの高収入を得る事が出来るようになった。

そのため財産も日々豊かになって行き、食器、日用品は言うに及ばず、衣類、家具なども日毎(ひごと)に高価な物を使えるようになって行った。

そのため、そこでの生活に些(いささ)か窮屈感を覚え始めた。


と、すれば・・・


当然、次は住居だ。

そして溝子の長男・下駄郎(げたろう)出産を機に、直人は、東京は三鷹市に一戸建て住宅を購入しそこに移り住む事になった。

直人26才の時の事である。


そして・・・


この引っ越しを契機に直人の人生は大転換を迎える事になるのであった。











つづく







Rick's Cafe Tokio (リックス・カフェ・トキオ)』 Deluxe #14 お・す・ま・ひ







Rick's Cafe Tokio 』 Deluxe #15



■この物語はどこまでも “作者の脳内フィクション” の文字化です。 実際の人物、団体等とは一切関係ありません。 例え、名称等がホンのチョッと似ていてもです。 不悪(あしからず)■




Rick's Cafe Tokio (リックス・カフェ・トキオ)』 Deluxe #15




元々(もともと)直人には、心中密かに期していた 『ある目的』 があった。


そ、れ、は、・・・政治家。


そぅ、政治家。


直人は子供の頃から政治家になる事を夢見ていたのだ。

そして、今回のこの引っ越しと同時に自宅をその本部とする、


『あきらめないで日本の民主主義をダメにする会』


という名のプロ市民グループ、即ち、悪質な利権獲得圧力団体を結成したのだった。

直人はこの悪質なプロ市民グループを背景に、使える可能な限りのコネ、手管(てくだ)、時には詐欺すれすれのやり方で、当時特定政党ではなく無所属議員の集合体である第二院倶楽部(クラブ)に所属して活動を行っていた、権力はないが大いに人望のあった参議院議員、市川房枝(いちかわ・ぶさえ)に巧妙に取り入る事に成功した。

しかも気が付けばいつの間にかその選挙事務所の代表になり、表向きはこの房枝の選挙参謀として尽力する振りをしながら、実は虎視眈々と自身の政界入りのチャンスを窺(うかが)っていたのだった。


後年、房枝はこの直人の人となりを、


『菅直人(かん・ちょくと)はずるいから、気をつけるように』


と周囲に洩(も)らしていたと言われている。

そしてこの市川房枝(いちかわ・ぶさえ)を踏み台として時を待ち、終に自らが立ち上げた悪質なプロ市民グループ 『あきらめないで日本の民主主義をダメにする会』 の支援の下、1976年の第34回衆院選に東京都第7区から無所属で立候補する運びとなった。

その結果は、大いに結構な事に 否 非常に残念ながら 『落選』 だった。

それでも直人はこの結果に全くめげる事なく、再チャレンジを狙い、それまで以上に情熱を燃やして活動を続けていた。

だが、そんな直人の目立った派手な活動がいつまでも日の目を見ない訳がない。

直人のその目立った派手な活動が、ある大物議員の目に留まる日が終にやって来たのである。



そのある大物議員とは・・・











つづく







Rick's Cafe Tokio (リックス・カフェ・トキオ)』 Deluxe #15 お・す・ま・ひ