#236 『何かが』の巻



突然、



(ギラッ!!



何かが不気味に輝いた。

それも二つ。

真っ暗闇の中で。


「・・・」


!?


何かが聞こえる。


何かが。


「フフフフフ・・・」


笑い声だ!?


笑い声が。

それも女の。



(ギィー!!



扉が開いた。

観音開きの扉が。


!?


観音開き!?


さっきの箱・・・・・・・・・・か?


そぅだ!!


あの棺桶のような形をした箱が開いたゾー!!


し、しかも!?


な、中になんかいるゾー、さっきはいなかったのにぃ!?


人だ!?


女だ!?


全身白ずくめの和服姿の女だ!?


目がクリッとしているゾー!!


いい女だー!!


チチがでかいゾー!!


牛チチだー!!


!? 牛チチ!!


それも全身白ずくめのいい女で・・・牛チチ!?


そ、れ、に・・・棺桶のような形をした箱?


も、もしかしてソレって・・・厨子(ずし)?


ま、まさか!?


まさか、そんなぁ!?


そんな事がぁ!?


そ、その女は・・・


も、もしや・・・











・・・!?







つづく







#237 『汚面智昭さまの忘却』の巻



「アッ!? いっけねぇー!! 忘れモンだぁ!!


突然、立ち止まり汚面智昭さまが大声を上げた。

他の4人が振り向いた。


「何だ? どした?」


伊痴呆が声を掛けた。


「俺、リュックサック置き忘れて来た」


汚面が答えた。


「何処(どこ)で?」


邪腹が聞いた。


「多分、さっきの棺桶ん所(とこ)。 ちょっくら取りに戻ってくらぁ」


と、汚面。


「しょうがねぇなぁ。 先行ってんゾー」


と、雲助。


「直ぐ戻って来いょー。 置いてっちまうゾー」


と、鳥肥。


「あぁ」


一言、頷(うなづ)いて、



(タタタタタ・・・)



汚面が先ほどの箱のあった場所に向かって走り出した。

汚面は箱を開けた後、それまでの過度の緊張から開放されホッとし過ぎてリュックサックを置き忘れて来たのだった。


「しょうがねぇヤツだなぁ、ったく」


と、伊痴呆が吐き捨てるようにほざいた。


「ホントだホントだ」


と、邪腹も。


「ウムウム」


「ウムウム」


「ウムウム」


と、残り3人が相槌(あいづち)を打った。


走り行く汚面智昭さまの後ろ姿を・・・











ジッと見つめながら。







つづく







#238 『汚面智昭さまの疑問』の巻



「有った有った有った!! ヤッパここかぁ」


置き忘れて来たリュックサックを見つけ、汚面智昭さまが結構デカイ声でそうほざいた。


リュックサックは棺桶のような箱の直ぐ側に置かれたままだった。


汚面がそれに近付き拾い上げた。

同時に、箱に目が行った。

汚面は思った。


『あれっ!? 扉が開(あ)いてんゾ!? さっき確か、閉めたと思ったんだがなぁ』


そして、


「おっかしいなぁ、誰か俺らの後にココ来たんかぁ? そんな筈ねぇんだけどなぁ」


等とブツブツ言いながらリュックサックを背負(しょ)い、箱の中を覗きこんだ。

先程同様、中には何もなかった。


『ナ〜ンか気持ち悪(わり)。 帰ろ帰ろ』


そう思った。











その時・・・







つづく







#239 『汚面智昭さまの驚愕』の巻



(ピューピューピューピューピュー・・・)



それまで雲一つなく良く晴れていた空が一転俄(いってん・にわ)かに掻(か)き曇り、風が吹き始めた。

みるみる気温が下がりだした。



(ブルッ!!



「おぉ、寒(さむ)!? 何だ何だ、急に冷え込んできたゾ」


ナンゾとほざいた直後、汚面は驚いた。



(チラチラチラチラチラ・・・)



粉雪(こゆき)が舞い始めたのだ。

それも晩夏に。

しかもその日はとても暑かった筈。

なのに粉雪(こゆき)が・・・舞う。


『ゆ、雪かぁ? 今頃ぉ?』


汚面はオデレータ。


「気ン持ち悪ぃなー、ったく。 今日は厄日だ。 サッ!! 帰ろ帰ろ、早く帰ろ」


そうブツブツ言いながら、帰ろうとして振り返った。











その瞬間・・・







つづく







#240 『汚面智昭さまの驚嘆』の巻



「ウォ!?


一言驚きの声を上げ、



(ドサッ!!



汚面智昭さまが尻餅をついた。


振り返った瞬間、目の前に・・汚面の目の前に・・チチとチチとが触れ合う位目の前に・・女が立っていたからだ。


『い、何時(いつ)の間に!? ド、ドッから!?


唖然として女を見上げる汚面。


その女はいい女だった。


全身白ずくめの和服に身を包み。

その和服の白以上に抜けるような色白の肌。

黒々とした豊かな長い髪。

鼻筋の通った瓜実顔(うりざね・がお)。

肉厚ではあるが上品なラインを描いている両唇。

だが、

その女の顔で特筆すべきは目だった。

一回りも二回りも大きくパッチリとしている。

そして円(つぶ)らな瞳。

その瞳は妖しいほどに濡れている。

この世の物とは思われぬ位、申し分のない美形だ。

加えて、

スラッっと背が高く、手足が長い。

そのバランスが実に奇麗だ。

更に、

その女は、和服の上からでもそうとハッキリ分かるほど豊かなチチをしていた。


そぅ、豊かなチチを。



『師曰(し・のたまは)く


「和服の上からでもそうとハッキリ分かるほど豊かなチチ。 これを牛チチと謂ふ」


 と。』



(ゴクッ!!



汚面は生唾を飲んだ。


その時、汚面智昭さまはこう思っていたのだ。


『いやー!? ええチチ 否 女だー!!


と。


破廉恥(はれんち)にも・・・











モッコリこきながら・・・







つづく