怨霊バスター・破瑠魔外道



この 『怨霊バスター・破瑠魔外道・35歳 (第一部)』 は、 2007/02/222007/08/06 にかけて 『“怨霊バスター” おっさん 破瑠魔外道・35歳 (第一部)』 として有栖川呑屋コマルが今は無き Doblog にうpしちゃったヤツ da ピョ〜〜〜ン。


チョッピリ手くわえてっヶど・・・




#1 『ブルー・シャンティ』の巻



「兵(いくさ)に臨(のぞ)んで闘う者は、皆、陳列(=陣列・じんれつ)して (我が) 前に在り!! 臨・兵・闘・者・皆・陳・列・在・前!! キェ〜〜〜イ!!!



(ビュバ〜〜〜!! ビキビキビキ〜〜〜!! ブヮーン!!


 ・・・


(ヒュ〜〜〜)


(ヒュー)


(ヒュ)


(ヒ)



「フン。 フ、フ、フ、フ、フ。 フッ、ハ、ハ、ハ、ハ、ハ。 ゥワ、ハ、ハ、ハ、ハ、ハ。 ワハハハ、ワハハハ、ワハハハ。 ワッ、ハ、ハ、ハ、ハ、ハ。 何だそれは? なんの冗談だ?」


「き、効かん!? お、俺の九字が!? ば、馬鹿な!? そ、そんな筈は!?


「ゥワ、ハ、ハ、ハ、ハ!! ・・・。 そんな子供だましの念力がこの俺様に通用するとでも思っているのか。 ワハハハ、ワハハハ、ワハハハ。 ワッ、ハ、ハ、ハ、ハ、ハ」




ここは日本国内某所深夜。


今、二人のが戦っている。



 ★ ★ ★



話は昨日に戻って。



「ヴッ、ヘックショーィ!! う〜、さぶ。 チッキショー!! 暖冬暖冬つっても、やっぱ夜は寒(さ)みーぜ」


と、破瑠魔外道(はるま・げどう)が言った。


「そーなんだよな、昼間はあんなに暖(あった)けーのにょ」


と、センちゃんが。


「朝晩はなぁ」


と、ブッちゃんが。


「やっぱり冬だょなぁ」


と、コウちゃんが。



ここは、日本のとある痴呆 否 地方にある 『女木戸(めぎど)の丘公園』 という名の公園内にあるテント村。

テント村とは言え、10人チョィの住人達はテント村等とは全く思っておらず、


ブルー・シャンティ”


ナンゾというビューティフォーな名前で呼んでいる。


!?


どっから見ても “テント村” だった。







つづく


(注意)

1.シャンティ(shanty) : 小屋、掘っ建て小屋

2.シャンティ(chanty) : (=chantey) 〔水夫の〕 労働歌 《作業に合わせて歌う》

3.シャンティ(shanti) : サンスクリット語(インドの言葉)で、静寂・寂滅・平和の意味のマントラ








#2 『分かっている事』の巻




破瑠魔外道は易者である。


そして土曜・日・祝日のみ、この女木戸の丘公園で易を立てて生計を立てていた。

見料は一件一万円と安くはないが、

その的中率の高さで客が客を呼び客足が耐えることはない。


又、

平日はドコで何をしているかは誰も知らない。


当然、

住所・氏名・年齢などは一切不詳。


分かっている事と言ったら、


身長 : 170cmチョッと?

体重 : 70キロ位?

性別 : おっさん

見たぶり : そこそこ女にもてそう?


更に、

本人の自己申告に依れば、


姓名 : 破瑠魔外道 (はるま・げどう)

年齢 : 35歳?


以上



コレだけだった。







つづく








#3 『ブルー・シャンティ暗黙のルール』の巻




(外道) 「お疲れ様ー!! カンパーィ!!


(センちゃん) 「カンパーィ!!


(ブッちゃん) 「カンパーィ!!


(コウちゃん) 「カンパーィ!!


外道は今、

この公園で知り合って仲良しになった星野仙二(通称:センちゃん)、田淵幸二(同:ブッちゃん)、山本浩一(同:コウちゃん)の3人と焚き火を囲んで酒盛りの真っ最中だ。

時間はまだ夕方5時過ぎなのにもう薄暗い。

そして寒い。

やっぱり冬だ。

4人はそれを実感しながら楽しく談笑していた。


センちゃんは親分肌で、ここ “ブルー・シャンティ” のボス的存在。

ブッちゃん、コウちゃんは言わばその補佐役。


(一々説明すんの面倒ちぃので、センちゃん達の身長・体重・見てくれ・性格・等に関しては名前を参照の上適当にご想像下さい。 どうせ脇役だし : 作者)


そして、

他の10人位いる住人達はこの3人の子分みたいなもんだった。


ここブルー・シャンティには暗黙のルールがある。


余計な事は、言わない聞かない”


という。


だから、

センちゃん達がナゼここの住人になったか?


それは、

誰も知らない。



4人は今、

芋焼酎を飲みながら楽しく盛り上がっている。


H” 


な話を肴にして。







つづく








#4 『謎の老紳士』の巻




(キキキキ、キー)



女木戸の丘公園横に、この辺りでは場違いな超・高級外車が止まった。

その名も・・・ロールス・ロイス。



(ガチャ、キー、バタン)



一人の上品な老紳士が降り立った。

これ又、場違いな格好である。

黒が際立ったモーニングを着ている。

車のドアをロックすると、何かを探しているのだろうか?

公園内をキョロキョロしながら歩き出した。


女木戸の丘公園はだだっ広いというほどではないが、東京ドームの半分位の大きさはある。


その老紳士はしばらく歩いた。

そして “ブルー・シャンティ” と書かれた看板の前で立ち止まった。

看板といっても板切れに下手っぴな字で “ブルー・シャンティ” と書いた物を杭に釘打ちし、地面に突き刺してあるだけの簡単な物だ。

センちゃんが適当に作った物だった。


「ブルー・シャンティ!? お〜、ここじゃここじゃ」



その時、当のブルー・シャンティでは・・・



4人のオッサンが芋焼酎片手に大いに盛り上がっていた。

こんなおバカなお話、こ、い、て。。。


(センちゃん) 「しっかし、ミラーマンもバッカだょな」


(ブッちゃん) 「ミラーマン? ミラーマンって?」


(センちゃん) 「ほれ、大学教授のウエクサなんとかっていう手鏡野郎」


(ブッちゃん) 「あ〜、あ〜、アレ!?


(コウちゃん) 「アレがどしたって?」


(センちゃん) 「な〜にが楽しくて、女子高生のパンツなんかで人生棒に振るかね」


(コウちゃん) 「だょなぁ。 女子高生のパンツなんかそんなに見たいかねぇ?」


(ブッちゃん) 「OLのパンツなら分からんではないがな。 OLのパンツなら」


(コウちゃん) 「だょなぁ。 OLのパンツなら分からんでもないな。 うん。 確かにOLのパンツならな。 でも、女子高生のパンツじゃなぁ。 どうせ色や形なんかありきたりだろうし・・・」


(センちゃん) 「まぁ、セクシーなのは期待薄だゎな」


突然、それまで黙って聞いていた外道が、右手に『八方美人』と印刷されたラベルの張ってある焼酎の瓶を握り締め、熱弁を振るい始めた。


「否、そんな事はない。 女子高生はいい。 実にいい。 確かに、OLのパンツはエロいのがエロエロ有ってエーに違いない。 しか〜し、女子高生には女子高生にしかない良さというものがある、良さというものが・・・な!? なんつったって、あの若さだょ、若さ。 うん。 あの若さ。 あのピチピチの〜、ムレムレの〜・・・」


そこに先程の老紳士が静かに近付いて来た。

4人は話を止めて老紳士を見た。

老紳士が聞いた。


「御取り込み中、真に申し訳ございません。 破瑠魔外道という方を探しております。 こちらに来ればお会いできると伺(うかが)って参ったのですが、どなたかご存知の方はいらっしゃらないでしょうか?」


センちゃん、ブッちゃん、コウちゃんの3人が外道を見た。


「破瑠魔は私だが。 貴方は?」


外道が聞いた。







つづく








#5 『さる高貴なお方』の巻




老紳士は言った。


「私奴(わたくし・め)、ある屋敷の執事をしております大河内順三郎(おおこうち・じゅんざぶろう)と申します。 我が主(あるじ)の使いでやって参りました」


「主? 主とは?」


外道が聞いた。


「ま、真に申し訳ございませんが、それを今、ここで申し上げる訳には参りません。 さる高貴なお方とのみ・・・」


「なら、そのさる高貴なお方がこの私に何の用かな?」


「も、申し訳ございません。 それもここで申し上げる訳には・・・」


「それでは話にならんだろう」


「い、いや。 で、ですが、そ、その〜・・・」


大河内は言葉に詰まった。

外道から目を切り、目線を下げた。

額に汗がにじんでいる。

ポケットからハンカチを取り出してそれを拭った。

再び顔を上げ、外道を見た。

その瞬間。



(ビクッ!!



大河内は驚愕した。


『ハッ!?


と、息を飲んでいる。 

微動だに出来ない。

まるで金縛りにでも逢っているかのようだ。


外道を見つめる大河内の目を突き刺すように、否、射抜くようにと言うべきか?

ジッと見つめる二つの目があったからだ。


二つの目が・・・


外道の目である。

それは夕暮れの中なのに、怪しく輝いていた。

確かに焚き火の火を映してはいたのだが、それとは別の何かの。


そぅ。


外道の体の中から発せられた何か”


の輝きだ。


大河内は瞬(まばた)き一つ出来ない。


空気が重い。

暗いせいもあるが。

凄い緊張感だ。

外道の気迫のせいか。


センちゃん、ブッちゃん、コウちゃんの3人も又、不意の出来事に身動きが取れず、この二人のやり取りを固唾(かたず)を飲んで見守る事しか出来なかった。


すると、

外道がユックリと腕を組み静かに目を瞑(つぶ)った。


「ウ〜ム」


考え込んだ。

沈思黙考し始めた。

それでもまだ、大河内は微動だに出来ない。

センちゃん達も相変わらず固唾を飲んで見守っているだけだ。


その状態が暫(しば)し続いた。


それでも大河内はまだ・・・

センちゃん達も・・・


そのまま、どの位経ってからだろうか?


緊張感が少し和らいだに違いない。

大河内が動いた。

そして口を開いた。


「破瑠魔先生のご高名を拝聴致しまして、我が主(あるじ)がどうしても先生にご相談致したい事があると申しております。 お願いでございます。 何卒(なにとぞ)、この私奴(わたくし・め)とご同道(どうどう)願えませんでしょうか? 何卒。 お願い申し上げます。 これ、この通りでございます」


いきなり、大河内がその場で這(は)いつくばり、外道に土下座をした。

突然の出来事に、呆気(あっけ)に取られて呆然(ぼうぜん)とするセンちゃん、ブッちゃん、コウちゃんの脇役三人衆。


それに気付かずにか?

あるいは気付いてもそれを無視してか?


外道は目を瞑(つむ)り、まだ沈思黙考したままだ。

大河内は地面に這いつくばった状態で外道の顔を見上げている。


緊張感が若干緩んだとはいえ、辺りの空気はまだ重い。

その状態が1分以上続く。

そしてその1分は、外道を除く4人には1時間以上に感じられた。


瞬間、



(クヮッ!!



不意に外道が目を明けた。



(ジロ!!



大河内の目を見た。



(ニヤッ!!



薄ら笑いを浮かべた。

そして沈黙を破った。


「面白い。 会ってみよう」


と、一言。

その外道の一言で全員の緊張感が一気に解けた。


すると、


「先生!! 大丈夫なのか?」


センちゃんが心配そうな声で聞いた。

他の二人も心配そうに外道を見ている。


「センちゃん、ブッちゃん、コウちゃん。 心配ない。 この人はいい人だ。 それを今俺は見た」


この外道の最後の一言でその場の雰囲気がガラッと変わった。


「ま〜た始まったょ。 先生得意の変な日本語」


と、センちゃん。


「『この人はいい人だ。 それを今俺は見た』 って? 先生、文法おかしくないかい」


と、ブッちゃん。


「分け分からん」


と、コウちゃん。


「文法おかしい、おかしくないはどうでもいいんだょ。 見たんだょ俺は今、確かにネ」


そう言って、3人に向かって外道はニャッと笑ってウインクをした。

それから、目線を再び大河内に移した。

大河内は相変わらず地面に這いつくばったまま、


「有難うございます、有難うございます、有難うございます、・・・」


を連呼している。


「そうと決まれば即断即行、長居は無用。 アンタの主とやらに会わせてもらおう」


そう言いながら外道は、上体を全く前傾しない状態のままスゥ〜っと立ち上がった。

人は立ち上がる時、重心移動のため若干前傾姿勢を取るのだが・・・







つづく