#6 『女子高生』の巻




最近の女子高生の制服のスカートは短い。


今、


その短〜〜〜いスカートを穿(は)いた女子高生がチャリをこいでいる。

目指すは “女木戸の丘公園”。

何を慌(あわ)てているのだろうか?

ギンギンだ。

辺りはもう暗いのに。


しっかし、上手に乗るものだ。

パンツが見えそうで見えない。

ホッッッ、ントにもうチョィなんだが、見えない。

ホッッッ、ントにもうチョィなんだが。

ホッッッ、ントに・・・(クソ〜〜〜!!



(キキキキ、キーーー!!!



ブルー・シャンティの近くにある駐輪場で止まった。


ブルー・シャンティでは、センちゃん、ブッちゃん、コウちゃんの3人が焚き火を囲んで酒盛りの真っ最中だ。


「ワハハハハハ!!


何やら楽しそうだ。

チョッと覗(のぞ)いてみよう。


(センちゃん) 「やっぱ、 OL のパンツはピンクだょな〜。 エヘヘヘヘ」


(ブッちゃん) 「ピンク!? ウン。 ピンクはいい、ピンクは〜。 エヘヘヘヘ」


(コウちゃん) 「でもょ〜、白だって捨てたもんじゃないぜ。 白も、まんざら。 OL の純白のパ、ン、ツ。 エヘヘヘヘ」


(3人一緒に) 「ウムウム。 エへッ、エヘッ、エヘヘヘヘ」


まぁまぁ、3人共まぁ、脂下(やに)がっちゃって、まぁ。


と、そこへ・・・



(タタタタタ・・・)



先ほどの女子高生が小走りにやって来た。

そして、


「センちゃんさん、ブッちゃんさん、コウちゃんさん。 今晩は」


(センちゃん) 「今晩は」


(ブッちゃん) 「今晩は」


(コウちゃん) 「今晩は」


3人と挨拶を済ませると、やおら辺りを見回した。

何かを探しているようだ。

見つからないのか?

怪訝(けげん)そうな顔でセンちゃんに聞いた。


「先生は?」


センちゃんがそのパンツの見えそうな女子高生に向かってこう言った。


「先生? 先生ならたった今帰ったょ。 雪(ゆき)ちゃん・・・」


と。


そぅ。


パンツが見えそうで見えないこの少女は、その名を・・・











“雪” といった。







つづく








#7 『フィアンセ』の巻




(センちゃん) 「先生ならたった今帰ったょ。 雪ちゃんすれ違わなかった?」


(雪) 「 (否定するように左右に首を振って) ウゥン。 すれ違わなかった。 な〜んだ。 先生もう帰っちゃったんだぁ」


(ブッちゃん) 「先生に何か用だったの?」


(雪) 「ウン。 チョッとね」


(コウちゃん) 「チョッと?」


(雪) 「ウン。 アタシね、先生達に食べてもらおうと思ってお酒の肴(さかな)作って来たんだぁ。 腕に縒(よ)りをかけて作ったんだょ。 今日、お休みだからきっとここでセンちゃんさん達と酒盛りしてるんだろうなぁって思って」


(センちゃん) 「うん。 さっきまでね。 でも、どっかの高貴なお方のお使いとかいう人が来て、先生連れってちゃったんだょ」


(雪) 「高貴なお方? ・・・。 高貴なお方って?」


(ブッちゃん) 「それが言ぉうとしないんだょ、その人」


(雪) 「フ〜ン。 そっかぁ。 帰っちゃったんじゃしょうがないな。 ハィ、コレ。 センちゃんさん達の分。 (センちゃん達に夫々《それぞれ》中に鳥のから揚げやら天ぷらやら色々酒のツマミの入っているパックを、背負ってきたDバッグから出して手渡す) で、コレが先生の分。 なんだヶど・・・。 先生いないんじゃね。 良かったらコレも食べて (そう言って、同じようなパックを一番大食いのブッちゃんに手渡す) 」


(ブッちゃん) 「いいの? コレもらっちゃって? 先生のなのに」


(雪) 「ウン。 いいょ。 口に合うかどうか分かんないヶど」


(ブッちゃん) 「(否定するように鼻先で右手を左右に強く何度も振りながら) いゃ〜、雪ちゃんの料理は日本一、否、世界一、否、宇宙一〜〜〜だょ」


(コウちゃん) 「ウンウン。 そうそう。 宇宙一、宇宙一、宇宙一〜〜〜!!


(センちゃん) 「いっつも悪いね雪ちゃん。 アリガト」


(ブッちゃん) 「ホントに美味しい差し入れ。 いつも雪ちゃん、アリガトね」


(雪) 「ウン。 じゃ、アタシ帰るね」


(センちゃん) 「エッ!? もう帰っちゃうの? せっかく来たんだからユックリしていけば?」


(雪) 「ウゥン、アタシこれから塾だから。 じゃ、ねー!! センちゃんさん、ブッちゃんさん、コウちゃんさん。 バイバ〜ィ」


(3人) 「バイバ〜ィ」


雪は先程チャリを止めた駐輪場に向かった。

チャリに乗るために。


そ、し、て、


再び、パンツが見えないように上手にチャリに乗る雪であった。


とっても上手に!!


ウン。 ホ〜〜〜ント上手に。



チッキショーーー!!



その駐輪場に向かう雪の後姿を見送りながら。


(センちゃん) 「いゃ〜、いい子だなぁ、雪ちゃんて〜」


(ブッちゃん) 「いゃ〜。 ホントに・・・」


(コウちゃん) 「ウンウン。 ホント、ホント」


(センちゃん) 「しっかし、雪ちゃんまだ16歳だろ。 それであんなにボインボインのナイスバディじゃなぁ。 この先一体・・・」


(コウちゃん) 「その上あの器量だもんなぁ。 色白だし・・・」


(ブッちゃん) 「どうしてあんな綺麗で、モダンで、ナイスバディで可愛い女子高生の雪ちゃんが、よりによってあのHでスケベでド変態の中年男の外道先生の恋人なんだ!? しかもフィアンセ!! 全く。 世の中、間違(まちが)っとる!!


(コウちゃん) 「だが、ワシの見たところ。 雪ちゃんの方が先生にお熱のように見えるんだが・・・」


(センちゃん) 「(ピッ!! っとコウちゃんを右手人差し指で指差して) コウちゃんは正しい!! いゃ〜、世の中全く分からん」


(ブッちゃん) 「だから余計腹立たしい!!


(センちゃん、コウちゃん、声を揃えて) 「その通りー!! ウムウム」







つづく








#8 『羽柴 精巣 秀吉』の巻




「旦那様。 破瑠魔様をお連れ致しました」


引き戸越しに大河内が屋敷の主(あるじ)に言った。


「ウム。 ご苦労。 お通ししてくれ」


主の声が聞こえた。


ここは日本某所にある大豪邸。

否、むしろお城と言った方がいいか?

形は大阪城に擬(ぎ)し、ご丁寧に天守閣まで設(しつら)えてある。

その天守閣が応接間だ。

表札には 『羽柴 精巣 秀吉(はしば・せいそう・ひできち)』 と書いてあった。



(スゥ〜)



引き戸が静かに開いた。


「破瑠魔様でございます」


大河内順三郎に案内されて応接間に外道が入って来た。

純和風金箔張りのだだっ広い部屋には、如何(いか)にも高価そうな屋久杉作り超豪華テーブルセットと胡桃(くるみ)無垢材使用の総革張り彫刻応接5点セットが置いてあり、天井埋め込みタイプのオレンジ色の自然光蛍光電球が満遍なく室内を照らしている。

明る過ぎず、暗過ぎず、満遍なく。

床板は漆黒とまでは言わないが、上品に濃くすすけた感じで、漆(うるし)でも塗ってあるのだろうか?

それともワックスが掛けられているのか?

ピッカピカのツルッツルだった。


一人掛けの総革張りの椅子をギーっと鳴らして、一人のオッサンが立ち上がった。

そしてオッサンは言った。


「これはこれは破瑠魔殿、遠路遥遥(えんろはるばる)ようこそお越し下さいました。 ワシがこの屋敷の主、羽柴 精巣 秀吉でございます」


秀吉は4050歳位の小男で肥満体、狸顔にチョビ髭。

いかにもテレビドラマ等で良く見る、所謂(いわゆる) “豊臣秀吉(とよとみ・ひでよし)” を意識した出で立ちだった。

ただし丁髷(ちょんまげ)は結ってはいない。

一見したところ髪は黒々フサフサだ。

が、

チョッとカツラっぽい気もしないではない。


This is 成金”


そんな感じだった。


「破瑠魔です。 (部屋の中を見回して) しっかし、いやはやいやはや、何とまぁ。 物凄い豪邸ですなぁ」


外道がその館を褒めちぎった。

それはそれは実感のこもった声で。


「いゃ〜、お恥ずかしい。 チョッと温泉で儲けましてな。 こういう贅沢をしてみました。 子供の頃からの夢とでも申しましょうか、念願叶いましたといった所です。 ま、どうぞお掛け下さい」


外道が秀吉に対座して座った。

大河内はドアの傍に立っている。


「いゃ〜、圧倒されますな〜。 全く持って。 ・・・。 ところで御用の趣は?」


「それなんですが、わざわざ先生にお越し願ったのは他でもない・・・ (チョッと躊躇《ためら》ってから) ・・・。 これから申し上げます事はくれぐれもご内聞という事にして頂きたいのですが」


「“依頼の守秘厳守” それがわたしのモットーです。 ご心配なく」


「有難うございます。 実は・・・。 実はワシの一人娘 『ナナ』 の事でして」


「娘さん?」


「はい」


「娘さんがどうかされましたか?」


「それが・・・。 それがですなぁ・・・」


一瞬、秀吉は口ごもった。







つづく








#9 『ナナ』の巻




「実は、数日前から娘 『ナナ』 の様子がおかしいのでございます」


意を決して秀吉が言った。


「おかしい? おかしいとは・・・?」


「はい。 それが、で、ございます。 当家には今はもう使ってはおりませんが、古井戸がございまして」


「古井戸?」


「はい。 一週間程前の夜中に娘のナナがその古井戸に飛び込もうと致しておりました。 幸い、偶々(たまたま)通りかかった警備の者が慌てて抱き抱え(だきかかえ)ましたので無事、事無きを得ました。 が、危ういところでございました」


「理由は?」


「はい。 娘に問いただしたのでございますが、本人にも皆目見当がつかないようなのでございます。 ただ・・・」


「ただ?」


「はい。 その晩は遅くまで勉強しており、眠くなったので休もうと思いベッドに入ると直ぐ。 あぁ、娘は今大学に通っております。 又、娘の部屋は洋間になっておりますのでベッドで寝ております。 ベッドに入るや否(いな)や、夢現(ゆめうつつ)になったそうでございます。 すると突然、目の前に観音菩薩様が出現され、その余りの神々しさに目を奪われて夢中で観音経を上げていたらしく・・・。 あ!? 娘は日頃から熱心に観音様を信仰致しており観音経の偈文(げもん)は、ほぼ完璧に暗誦致す事が出来るのでございます。 そして、ハッっと気付いた時には危うく井戸に落ちる寸前で、警備の者に身体を抱き止められていた。 そう申しております」


「ウ〜ム。 観音様ですか?」


「はい。 観音様です」


ここで少し外道は考えた。

そして聞いた。


「ナナさんに会えますかな?」


「はい。 部屋におります。 只今ご案内致します」


そう言うと秀吉は、


「オィ!!


顎で大河内に合図した。

その大河内の案内で、外道と秀吉が並んでナナの部屋に向かった。

屋敷の中は外観とはうって変わって超近代建築だった。

1階から最上階にある天守閣までエレベーターで移動出来る。


『一体この屋敷はいくら掛かったんだろうか?』


外道はその屋敷の金の掛け方の余りの凄まじさに、呆れ返ってそう思った。







つづく








#10 『鎖』の巻




(コンコン)



「入るょ。 ナナ」


そう言って秀吉がナナの部屋に入って来た。

外道、大河内が続く。


外道は部屋に入ると素早く中を見回した。

その視線がベッドに移ったその瞬間、


『オッ!?


と、驚いた。


ベッドの上には右手と左手に夫々(それぞれ)頑丈そうな手械(てかせ)をはめられた、年の頃なら189のナナと思われる女性が正座していたからだ。

手械にはゴッツクはないが、そこそこ重さの有りそうな鎖が繋がれている。

各々(おのおの)の鎖の端は夫々(それぞれ)ベッド頭部の右手の鎖は右脚に、左は左脚に結ばれていた。


ベッドの横にはナナの世話係と思われる256歳前後の女が3人、ピッと背筋を伸ばして立っていた。

3人共、黒白基調のゴスロリタイプのメイド服を着ている。

即ち、

黒のワンピースに白い付け袖、アクセントとして五十円玉大の黒ボタンの付いた白い立ち襟タイプの付け襟、メイド服用ホワイト・キャップにエプロン姿。

勿論、エプロンも純白だ。

ワンピースのスカート部分は足首付近まであり、その下からはやはり白いパニエ(仏:panier。 下着、ファウンデーションの一種。 18世紀にヨーロッパでドレスなどのスカートを美しい形に広がらせるためその下に着用した)が僅(わず)かにのぞいている。

それにホワイトソックス。

靴はシークレットブーツっぽいハイヒール。

色は黒。

一見したところ、ブラックラグーンのロザリタ・チスネロス(通称:ロベルタ)を思わせる身なりだ。

それが制服なのだろう。


ナナは美しかった。

俯(うつむ)き加減なので顔全体が見えた訳ではなかったが、美人である事に間違いはない。


外道は、サッと目を走らせて秀吉と見比べた。


『ホ、ホントに親子か?』


恐らく母親似なのだろうと外道は思った。

それほどナナは秀吉とは似ても似つかなかったのだ。

正座しているのでハッキリした事は分からないが、背丈は165cm位有るだろうか?

色白だ。

全体的にホッソリしている。


が、


チャンと出ているところはチャンと出ていた。


そぅ、チャンと・・・


白地に花柄の浴衣を着ている。

帯は淡いピンクだ。

その浴衣から胸の膨らみが、はみチチと迄は行かないもののチョビッとだけ、


うん、チョビッとだけ、


“乳(チチ)、コンニチハ”


それが妙に色っぽい。

手に鎖が巻かれているから尚更だ。


こ、これは・・・。

マニアには堪(たま)らんシチュエィションだ!! ・・・かな? かな?


部屋は暖房が充分効いている。

だからその格好でも、風邪をひく心配はなさそうだった。


しか〜〜〜し、


外道が、


『オッ!?


と、驚いたその訳は実はもう一つ有った。


そ、 れ、 は、


乳のでかさ。。。

そぅ。

ナナの乳のデカさだった。


『デ、デカぃ!? 形良くデカぃ!? ウ〜ム。 も、揉(も)みたい』


外道はそう思った。


『こんな状況じゃなかったら、モッコリこいちまうょなぁ』


とも思った。


ナナの部屋は白基調(しろきちょう)で、如何(いか)にも女の子っぽい部屋だった。

間取りは優に40畳はあると思われる。

天井が高い。

普通の家の2階分は有りそうだ。

カーテンと絨毯は淡いピンク。

きちんと整頓されている家具は白で統一されたメルヘンチックなロココ調。

全体が南向きのため部屋の北側隅に豪華なベッドが置かれている。

ベッドの向きは東向きで、サイズはセミダブル。


“その上に、浴衣姿の美女が鎖を掛けられて正座している。 しかもチチデカ君。 加えてはみチチさん”


コ、コレは美味しい!!


外道ならずとも、


オ・イ・シ・イ・!!


『このシチュエイションに似合うのは、やっぱ “ムチ” だよな〜』


と、まぁ。


先程からそんな事ばかり考えている・・・











外道であった。(作者ではない)







つづく