「第一部」J 『約束の口付け』の巻

 

 

人間、12人集まれば一人位イタズラ好きっているものです。

 

妖精だって同じです。

妖精 『クララ』 がそうでした。

クララは 『鼻フェチ』 だったのです。

つまり、人の鼻をつまむのが大好きだったのです。

特に、高くて筋が通っていてツンとした鼻は最高です。

タバサの鼻がコレでした。

クララは、タバサの鼻をつまんでみたくてみたくて仕方有りませんでした。

この100年の間、毎日毎日、眠っているタバサをこっそり見ては。

 

『タバサの鼻つまみてーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!

 

そう思い続けて来たのです。

100年間、毎日です。

タバサの鼻をつまもうとしても、いつも他の11人の内の誰かが傍にいて出来ませんでした。

 

しか〜〜〜し、

 

終に、チャンス到来です。

 

サマンサの案内でやって来たダーリンの出迎えにミンナが気を取られてる隙に、念願かなってクララはタバサの鼻をつまむ事が出来たのです。

そしてコレが最初で、多分最後です。

だからクララは、思いっきシ気が済む迄つまんじゃいまスた。

鼻をつまむためにめくっていたベールを、再びタバサの顔にかけながら溜め息です。

 

「フゥ〜。 あー、スッキリした〜〜〜!!

 

クララにとってダーリンの到着は、他の誰よりも誰よりも嬉しい出来事となったのでした。

 

丁度そこへ、妖精達の祝福を受けながらダーリンが入って来ました。

クララを含めた12人の妖精が固唾(かたず)を呑んで見守る中。

ダーリンがタバサの眠るベッドに近付いて行きます。

一歩、又一歩と。

もぅ、妖精達は緊張の余り息も出来ません。

それはダーリンも同じです。

手にはジットリ汗がにじんでいます。

 

そして・・・

 

終にタバサの眠るベッドに行き着きました。

さぁ、後は 『約束の口付け』。

そぅ、 『約束の口付け』 をするだけです。

ダーリンは、タバサにおおいかぶさりました。

それからタバサに口付けするために、ユックリとユックリとタバサの顔にかかったベールをめくりました。

そして口付けしようとタバサの顔を見た瞬間・・・

 

 

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

「第一部」K 『メデタシ、メデタシ』の巻

 

 

口付けしようとタバサの顔を見た瞬間・・・

 

ダーリンは、

 

「ウッ!? キッタネ!!

 

一言、そう言って。

クルッと向きを変え、さっさと帰っちゃいまスた。

しかも、一緒にサマンサを連れて。

 

残り11人の妖精達が何事かとタバサの周りに集まりました。

すると、そこには信じられない光景があったのです。

ナ、ナンとタバサは、大口を開けていびきを掻いて寝ていたのです。

しかも、バッチリ 『お・よ・だ』 を垂らしながら。

 

そうです。

 

そうなんです。

 

クララに鼻をつままれて息が出来なくなったタバサは、口を開けて呼吸するしかなったのです。

当然、口を開けて寝ればヨダレが垂れます。

丁度そこにダーリンが入って来たという訳だったのです。

 

こうして、

 

『眠れる森の美女タバサ』 は、100年に一度のビッグ・チャンスを見事逃しちゃったのでありました。

 

そしてサマンサは、チャッカリと 『ダーリンの奥様』 になっちゃったのでスた。

 

最後に、

 

その後クララが、ミンナにボコボコにされたのは言うまでも有りません。

 

 

 

 

メデタシ、メデタシ。

 

 

 ★ ★ ★

 

 

と、な」

 

(パチパチパチパチパチ・・・)

 

ミンナから拍手が起こりました。

でも、

その中の一人、トヨタ・キリコが玄龍斎先生に聞きました。

その横にはフィアンセのトーマス・ホンダ(通称・トミー)が座っています。

 

「クララがボコボコにされたって? ホント?」

 

「あぁ、もちろん」

 

「妖精が妖精をボコボコにしたって? ウソ臭〜い」

 

「ウソじゃな〜い」

 

「ホント?」

 

「あぁ、ホントじゃとも。 何せ、この話を教えてくれた妖精。 それこそが正に、当のクララ本人だったんじゃからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チャンチャン

 

 

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

「第一部」L 『その名はタバサ』の巻

 

 

「でも、タバサは? タバサはその後どうなったの?」

 

キリコが聞きました。

キリコはしつこい性格です。

いつも玄龍斎先生の話に 『ケチ』 をつけます。

一旦話が始まると、

誰よりも誰よりも夢中になって先生の話を聴くくせに death

 

「さぁ、な。 た、多分、まだどっかで眠ったままなんじゃないかな。 ウン。 まだどっかで」

 

玄龍斎先生が答えました。

が、

チョッと様子が変です。

何となく焦っている風にも見えます。

 

と、その時 death

それまでズーッと黙って聞いていたトミーが言いました。

 

「タバサかぁ? タバサ・・・。 ン!? そう言ゃ、玄龍斎先生の奥さん。 タバサって名前だっていう噂聞いた事あるなぁ」

 

それを聞いてみんなが一斉に、

 

「エ、エェー!?

 

驚きの声を上げました。

 

「い、いや。 し、知らんぞ、そんな噂。 わ、わしゃ、知らんぞ。 そんな噂」

 

玄龍斎先生、しどろもどろです。

 

 

(チョッとの間)

 

 

またもやミンナが声をそろえて、

 

「ア、アァー!? 玄龍斎先生ー!? まさか〜〜〜!? クララをそそのかして、タバサを横取りー!?

 

「ウ〜ム。玄龍斎先生なら十分あり得る」

 

と、トミー。

 

「ウムウム」

 

と、ミンナ。

 

「ち、違う!! 違うぞー!! タ、タバサなんて女。 わしゃ知らん、知らんぞー!! わ、わしの女房がタバサだなんて!! タ、タバサがわしの女房だなんて!! そ、そんな事、そんな事ある訳なかろー、ある訳ーーー!! ある訳ないんだ、ないんだ、ないんだ、ないんだ、ないんだ、ないんだーーー!! ウォーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!

 

(プチッ!!

 

た、大変です。

玄龍斎先生が白目をむいて床に転げ落ちました。

体がピクピクしています。

キリコが大慌てで。

 

「リック!! リーック!! 大変大変大変ー!! 玄龍斎先生がー!! 玄龍斎先生がー!! 玄龍斎先生がー!!

 

すぐにリックが駆けつけます。

床に倒れこんでいる玄龍斎先生を抱き起こしました。

 

「玄龍斎先生、玄龍斎先生。 ダイジョブですか? 玄龍斎先生。 しっかりして下さい」

 

リックがケンを呼びます。

 

「ケーン!! 来てくれー!! 玄龍斎先生が壊れたー!! チョッと手を貸してくれー!!

 

「又ですかぁ?」

 

「あぁ。 この人は、都合が悪くなると都合良く壊れる人なんだ。 全く、手の掛かる人だ」

 

等と、ブツブツ言いながら二人で玄龍斎先生を椅子に座らせました。

そして、

リックがトミー達に何やら怪しい目配せをしています。

 

するとトミーが。

 

「ォ、オッー!! あんな所に太ももムッチリのボインボインが!!

 

続けてミンナが。

 

「ォ、オッー!! あんな所に太ももムッチリのボインボインが!!

 

突然、玄龍斎先生が。

 

「ナ、ナニー!? 太ももムッチリのボインボインじゃとー!? ど、どこじゃどこじゃ!? 太ももムッチリのボインボインは!? ど、どこじゃどこじゃ、どこにおるー!?

 

(パチパチパチパチパチ・・・)

 

全員の拍手です。

そしてトミーが。

 

「玄龍斎先生ー!! ふっかーつ!!(復活)」

 

「ワハハハハ、ワハハハハ、ワハハハハ、・・・」

 

「ワハハハハ、ワハハハハ、ワハハハハ、・・・」

 

「ワハハハハ、ワハハハハ、ワハハハハ、・・・」

 

 ・・・

 

ミンナ大笑いです。

玄龍斎先生も笑っています。

リックもケンもトミーもキリコも。

ミンナが笑っています。

 

そうです。

コレが玄龍斎先生です。

コレこそが玄龍斎先生なのです。

だから、奥村玄龍斎先生はミンナに愛されているのです。

 

そして、

 

ホントなのかワザトなのか?

奥村玄龍斎先生は、

時々、

 

コ・ワ・レ・?

 

ちゃいます。。。

 

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ナンチッテ

 

 

 

The 奥村玄龍斎 第一部 完