#21 『拡散波動恋愛一直線砲、命中反応あり』の巻

 

 

「拡散波動恋愛一直線砲、命中反応あり」

 

砲撃手が告げた。

 

それを聞き、タバサは躍り上がって喜んだ。

すぐさま 『瞬間物質移送装置』 の中に駆け込んだ。

そして命じた。

 

「チャン司令!! ワラワをラー・ゲンリュウサインの許(もと)へ転送するのじゃ。 急げ!!

 

(チャン司令) 「ハッ!! タバサ様を転送せよ!! 目標、女木戸の丘」

 

(航海士) 「転送!!

 

 

(ピ、シュ〜〜〜!!

 

 

アッ!!

 

という間に、タバサは転送された。

女木戸の丘へと。

 

一方、

 

奥村玄龍斎影虎(おくむら・げんりゅうさい・かげとら)は、念法の天才だった。

指南役の達人・社門家沙(しゃかど・いえすな)もその才能を高く評価していた。

おそらく代々の玄龍斎の中で随一であり、いずれは自分をも凌(しの)ぎ、達人の名を欲しいままにするであろうと。

 

だから玄龍斎は冷静だった。

そして日頃の鍛錬の賜物であろうか?

それとも天性の素質からか?

このピンチに無意識に 『奥村流幻術深深秘秘密奥義・反射衛星方術』 を放っていた。

 

そぅ。

 

『反射衛星ほう・・・』

 

ん?

 

反射?

 

 

 

解説しよう。

 

『奥村流幻術深深秘秘密奥義・反射衛星方術』 とは?

 

反射衛星方術に弐有り

壱に、『奥村流幻術深深秘秘密奥義・反射衛星方術α版(アルファ・バージョン)』

弐に、『奥村流幻術深深秘秘密奥義・反射衛星方術β版(ベータ・バージョン)』

この二つである。

 

反射衛星方術α版(アルファ・バージョン)とは、

能動的念力技である。

原理は光が鏡や金属等に当たって反射するのと全く同じで、自ら発したエネルギー波を適当なエネルギー反射物質に反射させ、直接ではなく間接的に標的に命中させる技である。

ただし、適当なエネルギー反射物質はこの技の使い手の 『力量』、 『性格』、 『好み』 等によって変わる。

 

反射衛星方術β版(ベータ・バージョン)とは、

受動的念力技である。

即ち、

自分の周囲に鏡の鏡面作用のあるエネルギー・バリアを張り巡らせ、相手の繰り出したエネルギー波をそのエネルギー・バリアで文字通り『反射』させる技である。

 

 

『奥村流幻術深深秘秘密奥義・反射衛星方術α版(アルファ・バージョン)』 の決めポーズ

 

1. 右脚を上げて膝(ひざ)を曲げ、膝から先を地面と平行にし、左脚一本で立つ。 この時、右足首はまっすぐに伸び、右足裏は上を向いていなければならない。

2. 右腕を真上に垂直に上げ、五指を付けて手首を直角に内側に曲げる。この時、掌(てのひら)が地面と平行になっていなくてはならない。

3. 左腕を真下に垂直に下げ、肘(ひじ)を直角に曲げ、掌を真下に向けて肘から先を体幹に付ける。この時、肘から先が地面と平行になっていなくてはならない。

4. 「ハンシャー!!」 という気合もろとも一気に左脚爪先立ちになる。

 

(注意)

上記3.において、掌を絶対に上に向けては成らない。

もし上に向けたら、漫画 『おそ松くん』 に登場する出っ歯男イヤミの “シェーのポーズ” に成ってしまうからである。

 

 

『奥村流幻術深深秘秘密奥義・反射衛星方術β版(ベータ・バージョン)』 の決めポーズ

 

上記、『奥村流幻術深深秘秘密奥義・反射衛星方術α版(アルファ・バージョン)の決めポーズ』 の左右の手足が全て逆になる。 後は同じである。

 

 

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

#22 『確かに知っているはずの誰か』の巻

 

 

女は静かに目を開けた。

しかし、目の焦点を合わせる事が出来なかった。

目の前がボンヤリしている。

再び目を閉じ、暫(しば)しまどろんだ。

頭がボーっとしている。

 

遠くの方から音が聞こえた。

人の声のようだった。

何を言っているのかは、分からない。

それは、長〜〜〜いトンネルの中で大声を出すとトンネル内で何度も反響し、何を言っているのか分からなくなるのと同じであった。

その声らしき音が段々近付いてきた。

それと同時に、何を言っているのかがハッキリして来た。

そして終に、何を言っているのか分かった。

自分を呼ぶ声だった。

 

「オィ、君!! しっかりしろ!!

 

その声には聞き覚えがあった。

しかし、それが誰かは思い出せなかった。

確かに知っているはずの誰かなのに。

又、声が聞こえた。

同じ言葉を繰り返している。

その繰り返しの中で徐々に意識がハッキリして来た。

 

ユックリ女は目を開けた。

 

目の前に奥村玄龍斎の顔があった。

 

女はタバサだった。

そして地面に横たわっていた。

その地面に横たわった状態のタバサの上体を抱き起こし、心配そうにタバサを見つめる奥村玄龍斎の顔が目の前にあった。

タバサには今、自分が置かれている状況が全く理解出来なかった。

出来る事といえば、ただ、優しく、深く、そして澄んだ奥村玄龍斎の瞳を見つめる事だけだった。

 

 

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

#23 『恋』の巻

 

 

タバサと玄龍斎。

玄龍斎とタバサ。

見つめ合う二人。

 

 

恋する女 ・・・ ・・・ 愛する男

 

 

時は動かない。

 

しかし、

距離は近くなる。

 

ユックリユックリ近くなる。

 

静かにタバサは目をつぶる。

 

優しく唇が重なり合う。

 

恋に落ちた瞬間だった。

 

そして、時は動き出す。

 

再びタバサが目を開けた。

すでに全てを悟っていた。

自分が誰で相手が何者かを。

 

今、自分の目の前にはこの200年間。

憎んで憎んで憎んで憎んで憎んで憎んで憎んで憎んで憎んで憎んで・・・憎み続けてきた宿敵、奥村玄龍斎ことオーク・ムー・ラー・ゲンリュウサインがいる。

 

しかし、

今のタバサにとってそんな事はもうどうでも良かった。

自分の目の前には、

憎んで憎んで憎んで憎んで憎んで憎んで憎んで憎んで憎んで憎んで・・・憎み続ける以上に 『愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい・・・愛しい人』 となってしまった奥村玄龍斎がいるのだ。

 

自分の体をガッシリとした太い腕でシッカリと受け留め、自分の瞳を優しく、深く、澄んだ、そして、欲情丸出しの目で見つめてくれる奥村玄龍斎が。

 

静かにタバサは口を開いた。

 

「もう、ワラワはソチのものじゃ。 ワラワを好きにするのじゃ」

 

玄龍斎は優しく微笑んだ。

 

そして、

 

「ウム」

 

頷(うなず)いた。

 

 

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

#24 『最高最強エネルギー波』の巻



(ペカッ!!


(操縦士) 「女木戸の丘。 エネルギー砲発射反応あり。 ラー・ゲンリュウサインが反撃に出たものと思われます」

(チャン司令) 「何!?


(ゴバァーーー!! ビキビキビキビキビキーーー!!


(操縦士) 「前方より我が艦隊に向け、強大なエネルギー波接近!!

(チャン司令) 「し、しまった!! 全艦集結、反転180!! エネルギー波を回避せよ!!

(操縦士) 「ま、間に合いません!!


(ゴバァー!! ゴバァ、ゴバァー!! ゴバァ、ゴバァ、ゴバァ、ゴバァ、ゴバァーーー!! ビキビキビキーーー!!


「ゥワ!!

「ゥワー!!

「ゥワーーー!!

 ・・・

クピド艦隊は全滅した。
最高最強エネルギー波を受けたのだ。

!?

最高最強エネルギー波?

も、もしやそれは・・・!?

そうだ、その通りだ!!

小磯雲竹斎兼持の放った

『ハイパー・アポーン・ハメハメ波』

の直撃だったのである。



解説しよう。

前前前前前回 『女木戸(めぎど)の丘の戦い』 において。

先ず、
小磯雲竹斎が 『ハイパー・アポーン・ハメハメ波』 を放った。
これを防ぐため奥村玄龍斎は、無意識に 『奥村流幻術深深秘秘密奥義・反射衛星方術β版(ベータ・バージョン)』 を使っていた。
だがこの時、玄龍斎は被害を出さないためやはり無意識に 『ハイパー・アポーン・ハメハメ波』 を頭上へと反射させていたのだった。
このエネルギー反射をクピド艦隊・砲撃手は 『拡散波動恋愛一直線砲エネルギー弾』 の命中反応と誤認した。

そしてタバサが転送された。

そこへ 『拡散波動恋愛一直線砲のエネルギー弾』 が飛んできた。

最高最強エネルギー波である 『ハイパー・アポーン・ハメハメ波』 は、難なくこの 『拡散波動恋愛一直線砲のエネルギー弾』 を弾き飛ばした。

それが運命のいたずらか?

その弾き飛ばされた 『拡散波動恋愛一直線砲のエネルギー弾』 が、皮肉にも転送されて来たタバサに当たってしまったのだった。

更に、 『拡散波動恋愛一直線砲のエネルギー弾』 を弾き飛ばした最高最強エネルギー波である 『ハイパー・アポーン・ハメハメ波』 は、その威力が全く衰える事無くそのまま直進しクピド艦隊を直撃し、全滅させた。










という訳だったのである。











つづく

 

 

 

 

 

 

#25 『奥村玄龍斎の弱点』の巻

 

 

タバサは間違ってはいなかった。

200年間、観察し続けて下した結論。

 

即ち、

 

『奥村玄龍斎の弱点』

 

そぅ。

 

“代々の” 奥村玄龍斎唯一の弱点。

 

そ・れ・は、

 

Rick's Cafe Tokio 』 からの読者には大凡(おおよそ)の見当が付いているんジャマイカ?

そんな希ガス。

 

そうです。

その通りです。

 

“太ももムッチリのボインボイン”

 

これが正解です。

 

『最強の戦士・奥村玄龍斎唯一の弱点』

 

それは、

 

“太ももムッチリのボインボイン”

 

だったのです。

 

だから、タバサは自ら乗っ取った肉体が太ももムッチリのボインボインだったので、

そ、れ、も、

“超” が付くぐらいだったので、大喜びしたとです。

そして、奥村玄龍斎撃滅のための 『太ももムッチリのボインボイン作戦』 をより上手く運ぶため、その駄目押しとすて 『拡散波動恋愛一直線砲』 を放ったのであった。

 

すか〜す、

 

皮肉にも、奥村玄龍斎を狙った 『拡散波動恋愛一直線砲のエネルギー弾』 を自らが受けてすまひ、目を開けて一番初めにその狙ったはずの玄龍斎を見てすまった。

そして恋に落ちたとです。

タバサは今、身も心もその全てを奥村玄龍斎に捧(ささ)げようとさへすているとです。

 

作戦通りなら玄龍斎がこうなっているはずだったぉ。

 

 

しか〜し、

 

 

タバサには誤算があった。

 

タバサは十分(これはジュウブンと読んじゃいまふ。 ジップンではありませヌ : 作者)、

 

否(いや)、

 

十二分(これはジュウニブンでアリンス。 ジュウニフンではオジャらヌ : 作者)にエロっぽかった。

唯それだけで玄龍斎をメロメロに出来る程エロっぽかったのだった。

 

つま〜り、

 

玄龍斎もタバサにゾッコンちゅう訳ですネン。

 

一目で。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケケケケケ・・・

 

 

 

 

 

 

つづく