15



「ズズズズズッ、クチャ、クチャ、クチャ、ゴックン」


「ママ。 このソーメン、どこの?」


「さぁ、どこのっだたかしら。 メーカー名見るの忘れちゃったゎ」


「美味しいね」


「安物なんだけどね。 スーパーで買った」


「フ〜ン。 でも、美味しいょ」


「そぅ。 じゃ、きっとゆで方が良かったのね。 ママの」


「うん、そうだね。 ママのゆで方が良かったんだね。 きっと」


昼下がりの一時(ひととき)

何気ない親子の会話だ。

良い感じだ。


美琴は素直だ。

パパさん、ママさん、アリスと話してる時だヶは。

だが、俺様には凄〜く凄〜くやなヤツだ。


ナゼだ?


!!


美琴がこっち向いたぞ。


「おぅおぅ、ポチ」


何だょ?


「さっきから、な〜にジロジロ見てんだょ」


見てちゃ悪(わり)ぃのかょ?


「気になんだろー」


そりゃオメェ、自意識過剰ってもんだ。


「女の子が物食ってる時にジロジロ見るのはマナー違反なんだぞ。 知らねぇのか?」


知らねぇょ、そんな事。

ヶど、良いじゃねぇか。

午後の一時の 『家族の団欒』 じゃなかった 『親子水入らずのナイスな会話』。

見てたって。


見てちゃ悪ぃんか?

ん?

見てちゃ。


第一、女の子がそんな物の言い方すんじゃねぇょ。

オメェの方がよっぽどマナー違反なんじゃねぇのか。

そんな口の利き方しってと、嫁いけねぇぞ、嫁。

ん?

良いのか行けなくて?

ん?

良いのか?


「あー、気が散る〜!? あっち行けー!!


!?


こ、このアマー!!

こ、この俺様に丸めたティッシュ投げ付けやがったなー!!


!?


き、汚ったねー!!

このティッシュ、さっきオメェがチンしたティッシュじゃねか。

俺様、ちゃんと見てたんだぞー、オメェがチンしてっとこ。


チッキショー。

オメぇってヤツはょー、オメぇってヤツはょー、オメぇってヤツはょー。

ホ〜〜〜ントやなヤツだぜ、ホ〜ント。


パンツはかねぇで俺様、跨(また)ぐゎ。

チンしたティッシュ投げつけるゎ。

やんなちゃうぜ、全く。


「早くあっち行けー!!


「まぁまぁ、美琴。 ポチが可哀想ょ、そんな事したら。 それに何!? その言葉使い、アンタ女の子なんだからね」


「だってママ。 せっかくママが作ってくれた美味しいソーメン。 アレに見られながらだと不味くなっちゃうんだもん。 早くあっち行けー!!


ア、アレって。

俺様の事、物みてぇに言いやがって。

チッキショー!!

あっち行きゃ良いんだろ、あっち行きゃ。

はいはい、行きますょ、あっち。

行けば良いんでしょ、行けば。

はいはい、オメェ様のご希望通りにな。

行きますょ、あっち。


美琴のウンコたれー!!

オメェなんか死んじめー!!

チッキショー!!

ホントにやなヤツだぜ、美琴ってヤツはょ〜。


でも、まぁ、ミルクは飲めなかったが、さっき飯も食った事だし。

アリスの部屋行って昼寝でもすっか。

その後、オレ様山公園行ってメリーちゃんとデートだ。

メリーちゃん来るかなぁ。

来ると良いなぁ。


!?


アリスのお部屋でお昼寝お昼寝っと。


アリスの部屋は洋間だ、前にも言ったが。

そしてアリスは女の子だ。

だから外出する時はドアは閉めるはずだ。

普通、女の子はそうする。

男だってそうするだろう?

事実、美琴は閉めている。

だが、アリスは閉めない。


ナゼか?


我輩のためだ。


我輩には昼寝が必要な事をアリスは知っている。

そしてドアが開いてると、我輩がアリスのベッドでお昼寝するのも知っている。

だからアリスはドアを閉めない。

我輩が出入り出来るようにチョッとだけ開けてくれている。

これがアリスと美琴の違いだ。

そして決定的な違いでもある。

(おんな)じ親から生まれてこんなに違うもんかと、時々思う。

ホ〜ントそう思う。


ハッ!?

そうだ!?


今、このブログを読んでいる 『粋狂』 なキミ。

そうだ、キミだキミ。

キミもそう思ってねぇか?

否、そう思っているに相違ない。

な。

違うか?

ん?

違うか?

違わねぇょな?


・・・。


ウム。

そうだ。

それが普通だ。

そぅ、普通だ。


ホ〜〜〜ント違うんだぜこの二人。

やんなっちゃう位にな。

ま、どうでも良い事なんだヶもどょ。


そんな事よっか、早く二階行って・・・。

アリスのお部屋行って・・・。

お昼寝お昼寝っとー。

そぅ。

昼寝だ昼寝だ。


アリスのお部屋でお昼寝だ〜〜〜!!




15 完