21



「フ〜ン。 やっぱり考え過ぎだったかな、ワタシの」


何にがだ、ママさん。


「いくら賢くても、猫だものね。 お前は」


うん。

猫だぜ、ママさん。

それがどした?


「人間の言葉、分かる訳ないわょね」


分かるぜ、ママさん。


「やっぱり考え過ぎね、ワタシの」


そんな事ないぜ、ママさん。


「でも、・・・」


!?

でも〜?


「・・・」


!?


どした、ママさん?

そんなに俺様ジッと見つめて。


「ポチー!! なんて賢いヤツなんだ〜、お前ってヤツは〜!! ウリー。 ウリウリウリ―。 ウリウリウリ―。 ウリウリウリ―」


「ニャーニャーニャー。 ニャーニャーニャー」 (や、止めてくれ!! その 『ウリウリウリー』 って言いながら俺様の額にママさんのおでこグリグリすんの。 止めてくれー!! 頼むから)


「高い高い高〜〜〜い。 高い高い高〜〜〜い」


「ニャーニャーニャー。 ニャーニャーニャー」 (そ、その 「高い高い高〜〜〜い」 つぅーのも止めてくれー!! 俺様の “アソコ” がママさんの目の前なっちまうだろー。 は、恥ずかしいじゃねぇか)


「ホレホレホレー。 ホレホレホレー」


「ニャーニャーニャー。 ニャーニャーニャー」 (お、俺様の両手つかんでフォークダンスしねぇでくれ〜〜〜!!


た、頼むぜママさん。

俺様、玩具にしないでくれ。

た、頼むぜママさん。


「まぁ、ピーカン。 さっきの雨、嘘みたいだわ。 美琴が出かける前に止んで良かった良かった」


うん、そうだな。

雨止んで良かったな。

って、何て変わり身の早い。


「洗濯物。 少し濡れちゃったから、もう少し干しときましょう」


!?


ママさん素早いぞ。

!?

という間だ。

!?

という間に洗濯物干しなおしたぞ。


ウ〜ム、素早い。

猫みたいだ。

俺様みたいだ。


!?


ママさん、又テレビ見始めたぞ。

何に見てんだ?

エッチなヤツか?


!?


何々?

お、経済ニュースか?


ママさんはテレビが好きだ。

暇さえあれば見てる。

否、見ていた。

でも、この頃テレビを見る時間がなくなった。

インターネットで株取引を始めたからだ。

デイトレイディングってヤツだ。

結構稼いでるみたいだ。

でも、取引額が少ないので儲けてるとは言えないらしい。

こないだパパさんにそんな事言っていた。


ママさん勘良いからな。

株取引向いてるかもな。

タップリ稼いで鯛の味噌汁作ってくれ。

アンコウでも良いぞ。

リッチなヤツな。

鯛やアンコウなら 『猫マンマ』 でも文句言わねぇぞ、俺様。

ママさん期待してるぞ。

さぁ、晴れた事だし、雨降った後で涼しいし、もう一ちょ、オレ様山公園行ってみっか。


でも、


ふぁ〜ぁ。

眠い。

少し眠くなったぞ。

一眠りしてからにしよう。


ママさん、お・や・す・み。


期待してるぞ。

タップリ儲けてくれょ。

鯛な鯛。

アンコウでもいいぞ、アンコウでも。

思いっきり、リッチなヤツな。

ムニャムニャムニャ。


ママさんは今、デイトレーディングで小遣いを稼いでいる。




21 完