25



!?


オレ様山公園だ、オレ様山公園!!

思い出したぞー。

メリーちゃんだメリーちゃん。

そうだそうだ、メリーちゃんだメリーちゃんだ。

オレ様山公園行かなくっちゃ。

メリーちゃんに会いに。


今何時だ?

5時半だ。

良かったまだ暗くなってない。

急げばまだ間に合う。


くどいようだが、念のために言っておくぞ。

今は8月半ばチョッと前だ。

という設定になっている。

だから5時半なら外はまだまだ明るい。

それに凄く暑い。

これ、念のためだぞ、念のため。


「ニャーニャー」 (ママさんママさん)


「あら、ポチ。 どしたの?」


「ニャーニャーニャー」 (俺様、これからオレ様山公園行って来っかんな)


「ん? どしたの?」


「ニャーニャーニャー」 (ご飯後で良いぞ。 帰った後でな)


「あ。 さては、メリーちゃんトコ行く気だなぁ」


な、何で分かっちまうんだ、何で!?


「そうだろ、ポチ。 図星だろ」


ず、図星だょ。

で、でも何で?


「図星だって顔に書いてあるぞー」


ホ、ホントか?

か、顔に書いてあんのか、そんな事。

ホ、ホントか?


「・・・」


!?


な、何だよ、ママさん。

俺様の顔、ジッと見つめて。


!?


ヤ、ヤナ予感。


「ポチー!! お前ってヤツはーお前ってヤツはーお前ってヤツはー。 ウリウリウリー。 ウリウリウリー」


「ニャーニャーニャー。 ニャーニャーニャー」 (や、止めてくれ!! その 「ウリウリウリー」 って言いながら俺様の額にママさんのおでこグリグリすんの。 や、止めてくれー。 お願いだー)


「高い高い高〜い。 高い高い高〜い」


「ニャーニャーニャー。 ニャーニャーニャー」 (そ、その 「高い高い高い〜」 つぅーのも止めてくれぇー。 俺様の “アソコ” がママさの目の前なっちまうだろー。 は、恥ずかしいじゃねぇーか)


「ホレホレホレー。 ホレホレホレー」


「ニャーニャーニャー。 ニャーニャーニャー」 (や、止めてくれ!! り、両手つかんで俺様にフォークダンスさせねーでくれー)


た、頼むぜママさん。

俺様、玩具にしないでくれ。

た、頼むぜママさん。


しっかし、ママさんのこの変身何とかなんねーのか、何とか!?

これさえなきゃ、非()の打ち所ねぇんだヶどなぁ。

美人だし、賢いし、スタイルいいし、ボインボインだし。

でも、いきなり人格変わるんで付いて行けねぇぜ、ったく。


人呼んで、

『ジキルとママさん』

『超人ハルクママ』

な〜ンてな。


・・・。


チョ、チョッとつまんなかったか、これ?

ん?

つ、つまんなかったか?


・・・。


こりゃ又、失礼致しました。


「しっかし、ホ〜ント分かりやすい猫ねぇ。 お前って」


そ、そうか?

俺様そんなに分かりやすいか?

いつも言われっヶど。

ママさんの勘が良過ぎるだヶなんじゃねぇのか。

ママさんの勘が。


前にも言ったが、ママさんは勘が良い。

ホントに良い。

ビックリする位だ。

もしかすると、株で大儲けするかも知れない。

大金(たいきん)儲けて白金台に、お・う・ち

なんて事も。

本物のシロガネーゼになっちゃうかも。

ウ〜ム。

あり得る。


!?


忘れてた。

メリーちゃんメリーちゃん。

オレ様山公園行かなくっちゃ。

どうもママさんの人格転換に付き合わされると調子狂っちまうぜ、ったく。


チッ。


それじゃ、ママさん。

オレ様山公園行って来ま〜す。


ご飯は帰ってからで良いょ〜ん。




25 完