第26話
ジャン!!
オレ様山公園とうちゃ〜く。
って言っても、たったの3秒だヶどな。
家から。
あれ〜。
やっぱメリーちゃんいないぞ〜。
どしたんだ?
もう遅いから山田さん家(ち)帰ったんか。
チェ。
今日は一回も会えなかったぞ。
それに誰もいないぞ。
いっつもいるマダム達やその付属品のガキんちょ達もだ。
あ、そっか。
今5時半だ。
夕食作る時間か。
道理(どうり)で誰もいない訳だ。
どうしよっかな〜。
まぁ、折角来たんだから俺様のお気に入りのベンチで少し時間でも潰すか。
オレ様山公園には我輩お気に入りのベンチがある。
木製のベンチだ。
チャンと名前だってある。
『オレ様ベンチ』
だ。
どうだ?
良い名前だろ。
中々だろ。
うん。
ナイスなネーミングだ。
我輩が付けた。
ヶど、アリス達ならこう言いそうだ。
『ポチベンチ』
プッ、プププププ。
な、なんてセンスのない。 ┐(ー。ー)┌ヤレヤレ
チョッと顔文字なんか使ってみたぞ。↑
↓こんなのもあるぞ。
┐( -"-)┌
↓こんなのも。
┐('〜`)┌
なんつっても、ネーミングのセンスねぇからなぁ。
田原家の皆さんは。
プププププ。
で!?
オレ様ベンチだが。
チョッとおっき目の枝っぷりの良い木の下にある。
その枝が良い感じで東・南・西からの直射日光を遮ってくれる。
周りには他に何もない。
当然、風通しはグッドだ。
オレ様山公園で一番過ごしやすい場所だ。
特に夏場はな。
もっとも、いくら過ごしやすいといっても、風のない蒸し暑い日はやっぱり地獄だ。
他の場所と同じで。
でも、春の暖かい日や小春日和ん時なんかに一眠りするには最高の場所だ、オレ様ベンチの上は。
今日なんかはチョッと暑いが、さっき降った雨のお陰で、まぁまぁだ。
ファ〜ァ。
又、眠くなったぞ。
幸い誰もいない事だし、ここでもう一眠り。
良し。
もう一眠りしていこう。
さっき、ママさんに散々イジクリ回されてチョッとくたびれてるしな。
もう一眠り、っと。
「スャスャ、スャスャ、スャスャ、・・・」
・・・。
ファ〜ァ。
ウ〜ン。
あ〜、良く寝た。
お!?
薄暗くなってるぞ。
つーか、真っ暗だ。
ん!?
どこだ、ここは?
どこだどこだ?
なんか変だぞ。
いつもと違うぞ。
ん!?
オヮッ、とー!?
ビ、ビックリした。
目の前に人がいるぞ。
オッサンだ!?
変なカッコしてるぞ。
こっち見てるぞ。
き、気持ち悪い目だ。
逃げよっと。
う!?
何だ何だ!?
か、体が動かないぞ。
どしたどした!?
か、金縛りだ。
変なおっさんも動かないぞ。
気ん持ち悪い目でジッと俺様見てるぞ。
何か言ってるぞ。
俺様に話し掛けてるみたいだ。
どうしよどうしよ。
とっても怖いぞ。
怖いぞ怖いぞ。
とっても怖いぞ。
どうしよどうしよ。
とっても怖いぞ。
「ビクッ!!」
ウ、ウ〜ン。
ハッ!?
ゆ、夢か!?
夢だ夢だ。
あ〜、良かった。
夢だ夢だ。
変なオッサンの夢だ。
それにしても気持ち悪い夢だったぞ。
脂汗ビッショリだ。
心臓ドキドキだ。
何て気持ち悪い夢だ。
悪夢って奴だ。
メリーちゃんの夢なら大歓迎なんだヶどな〜。
オッサンじゃな〜、オッサンじゃ〜。
そ、れ、も、気持ち悪いオッサンじゃ〜。
不気味なオッサンじゃ〜。
フゥ〜。
こ、怖かった。
ん!?
こ、ここはどこだ?
どこだどこだ、ここはどこだ?
・・・。
あ!?
そうか、オレ様山公園だ。
そうだ、オレ様山公園のオレ様ベンチの上だ。
♪
俺様は 街中で一番
賢いと 言われ〜た 猫
チカラ〜は ないけど 素早いぞ〜
だけど ハートは チキン
♪
これ、歌だぞ、歌。
チョッとミュージカルっぽく決めてみたぞ。
そぅ。
ミュージカルっぽくな。
お!?
もう、辺りは薄暗いぞ。
帰んなきゃ帰んなきゃ。
お家帰んなきゃ。
急いで急いで。
お家帰んなきゃ。
オレ様山公園から田原家まで、猫ダッシュで3秒だ。
たったのな。
第26話 完