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「ごっ馳走様ー!! あ〜、美味しかったぁ。 ママのカレー最高!! 特に今日のは。 アタシお代わりっちゃた」


「良く食べたねー、アリス」


「うん、ママ。 ホ〜ント美味しかったょ」


「ご馳走様。 アタシも2杯食べっちゃった、お姉ちゃんと一緒。 あんまり美味しいんで」


「美琴も、良く食べたねー」


「パパだって食べたぞ。 3杯も。 ママ、ご馳走様」


「お粗末さま」


「ねぇ、見て見て、みんな見て。 ポチまだ食べてるー。 よっぽど美味しいんだね。 ・・・。 ポチ、美味しい?」


う、うっせーなアリス。

食って時に話し掛けんじゃねぇょ、気が散るじゃねぇか。


「お!? ポチのヤツ、お姉ちゃん無視しやがった。 生意気な猫だ。 おぅおぅ、ポチ。 返事ぐらいしたらどうだ、返事ぐらい」


う、うっせーな美琴。

だから〜。

食って時に話し掛けんじゃねぇょ、食って時に。

気が散るつってんだろぅ、気が散るって。

ったくょー。


「良いょ良いょ、美琴。 ポチ美味しいんだょ、きっと。 ほら、あんなにガツガツ食べてるょ。 美味しいんだょ、きっと」


う、うめー!! (((^−^)))

うめーよー!!


そ、そうなんだょアリス。

ホ、ホントにうめぇんだょ、今日の晩飯。

最近、 『猫マンマ』 ばっかだったろ、だから。

ホ、ホントにうめぇんだょ、今日の晩飯。


ママさん、サンキュー。

約束通りだったな。

ミルクとカルカン。


「ミルクとカルカン。 ポチにもおすそ分け、って訳。 ミルクは 『特濃』、カルカンは最上級。 もっとも二つともバーゲンで安かったんだヶどね。 でも良かったゎ、丁度アリスの独立祝いになって。 幸先良いゎね、アリス。 ね、パパ」


「あぁ、アリスの船出は絶好調。 これも、日頃のアリスの行いか? いゃ、きっと、天のお導きに相違ない。 うん。 そうだ、天のお導きだ。 神様のお陰だ。 仏様のお恵みだ。 アーメン。 ナンチャッテナンチャッテナンチャッテ」


「アハハハハハ。 またまた、パパは大袈裟なんだから。 アリスの日頃の行いょ。 アリスの行いが良かったのょ」


「うん。 そうだそうだ。 パパもそう思う」


「アタシも」


「ワハハハハハ」


「アハハハハハ」


「アハハハハハ」


「パパ、ママ、美琴。 有難う」


「頑張るんだぞ、アリス」


「しっかりね」


「お姉ちゃん。 これで絵本作家になる、お姉ちゃんの夢、一歩近付いたね」


「アリガト、美琴。 でも、まだまだこれからなんだ」


「ダイジョブだょ、お姉ちゃん。 お姉ちゃんなら絶対上手く行くょ」


「だといんだヶどね」


「ダイジョブだょ、お姉ちゃん。 アタシ絵は得意じゃないから良く分かんないヶど、お姉ちゃんの絵、素人のアタシが見ても 『凄い』 って思うもん。 だから絶対ダイジョブだょ」


「なんてったって、アリスは俺の子だからな。 チャ〜ンとパパの血引いてるからな」


「あら!? だったら美琴は、美琴は誰の血引いてるのかしら? (クスッ)」


「美琴? もちろん俺の血・・・。 って、今のママのその笑い。 な、なんかあるな。 な、なんか隠してるな、ママ。 ・・・。 ひょっ、ひょっとして・・・。 み、美琴の父親は他に。 ・・・。 み、美琴ー!! け、血液検査だー!! 血液検査!! 病院だー!! 病院行くぞ、病院!!


「アハハハハハ。 冗談ょ、パパ。 冗談。 パパったらすぐ向きになるんだから。 大丈夫ょ。 ダイジョーブ。 美琴はパパの子ょ、パー、パー、のー、子。 (クスッ) ほら、目と口元なんかパパそっくりじゃない。 それに顔の輪郭も」


「そ、そうか。 だったら良いんだがな、だったらな。 もぅ、ママったら脅かさないでくれょ」


「パパが早とちりなだけょ」


「そ、そうか。 早とちりなだけか、早とちりな、な」


「うん。 そ〜だょ、パパ。 パパの早とちりだょ。 だって、美琴、パパにそっくりだもん」


「そ、そうか。 アリス。 そう思うか」


「うん」


「似てないょー、パパなんかに。 アタシはママ似。 ママに似てんの」


「パ、パパなんかに!? こ、こら美琴。 パパなんかにとは何だ、パパなんかにとは」


「いいじゃないの、パパ。 パパはすぐ向きになるんだから。 (ウフッ) ヵ〜ヮィ」


プゥッ、ハァー!!

うめぇー!!

美味かったー!!

ママさん、ご馳走様ー!!


!?


何だ、4人とも!?

なんか凄〜く楽しそうじゃねぇか。

なんか凄〜く。

ん?

家族の団欒(だんらん)ってヤツか。

アットホームってヤツか。

なんか凄〜く良い雰囲気だぞ。

お陰で今夜はグッスリ眠れそうだぞ。


美味いもん食っちゃたし、アリスは良い感じになって来たし、田原家は雰囲気良いし。


今夜はグッスリ眠れそうだぞ、オ・レ・さ・ま。。。




32 完