第6話



「じゃ、ママ行って来るよ」


「はい。 行ってらっしゃい」


「おい、ポチ!! しっかり留守番するんだぞ、良いな!? ママに悪い虫が付かないようにだぞ、分かったな!? 何つってもママ美人だからな〜。 パパちゃん心配〜ィ。 ナンチャッテ、ナンチャッテ、ナンチャッテ。 ワハハハハハ」


「もう、パパったら。 遅刻するでしょ。 早く行きなさい」


「は〜い、ママー。 じゃぁなポチ、しっかり頼むぞ、しっかりな。 うん。 ワハハハハハ」


「にゃー」 (分かったよ、パパさん。 心配いらね〜ょ)


しっかし、パパさんいい歳こいてデレデレと。

見〜ちゃいらんねーぜ、デレデレと。


でもょ〜。

気持ち分かんねーでもねえょな〜。

何つっても、ママさん美人だからな〜。

スタイルいいし、ボインボインだし、肌なんかツベツベだし。

とっても45にゃ見えねーぜ。

25歳で通用すんじゃねーか。

ま、俺様にゃどうでも良い事なんだけどょ。


それよっか、まぁ、慌しいひと時だったぜ。

もう、ヘットヘト。

一日終わった気分だ。


今何時だ?

7時半かぁ。

アリスの 『ウリウリウリー』 が確か6時頃だったょな、確か。

つー事は1時間半。 たったの1時間半!?


おいおい、こんな凄いドラマがたったの1時間半で起こる家なんて他に有るのかょ。

普通ねーんじゃねーか、普通。

慌しくったってもうチットのどかだろぅ。


でもな〜。

パパさんの “お漏らし” は別にしても、ここじゃ毎日こうだもんなぁ、ほとんど毎日。

つまり田原家お得意、朝の恒例行事。

まぁ、一言で言うなら何だぁ。


『田原家今日も正常運転』


ってか?


!?


ミルクも飲んだことだし俺様も出掛けるとするか。

何処へかって?

決まってるじゃん。

隣の公園ょ、と、な、り、の、こ、う、え、ん。


当田原家には、道を挟んで反対側にチョッとした公園がある。

そこが我輩の遊び場だ。

そこの花壇が我輩の臨時のトイレだ。

ウンチだって出来る。

勿論、ちゃんとしたトイレは田原家の中にある。

俺様専用のトイレがな。

だから公園の花壇は臨時のトイレだ。

そしてその公園はJR 中央線の某駅から歩いて20分位の所に有る。

周りは閑静な住宅街だ。

しかし、これ以上は言えない。

今は個人情報保護のうるさい時代だからな。


三軒先の山田さん家の三毛猫メリーちゃん今日も来てっかなぁ?




第6話 完