#16#20




ペルセウス対怪物くんの参考画像・↓






11名画〜 気ままに絵画鑑賞☆ ( http://hkr2525.blog51.fc2.com/blog-entry-261.html )』 様のブログに


シャルル・アントワーヌ・コワペル作の 『ペルセウスとアンドロメダ ( http://blog-imgs-37-origin.fc2.com/h/k/r/hkr2525/beach36.jpg )』 が、


簡潔、且つ、とてもナイスに紹介されています。 (こちらのサイト様は “リンクフリー” という事なのでお借り致しました。)




この画像をお借りして、作者としても一応、シャルル・アントワーヌ・コワペル作 『ペルセウスとアンドロメダ』 を 『神撃のタイタン』 の内容に照らし合わせて解説しておきます。



鎖で岩に繋がれているアンドロメダの足元に迫り来る怪物くん。

その怪物くん目掛け、上空から今正にハルペーを打ち下ろさんとしているペルセウス。


その戦いの最中(さなか)・・・


娘アンドロメダに両腕を差し伸べ、その悲運を嘆く王妃カシオペア。

天を仰ぎ、神々の助けを求める国王ケペウスとそれに従う兵士達。

背後の城壁の上から事態の推移を見守っている国民達。


そして・・・


予想外のペルセウスの介入に怒りと驚きを露にしているネレイス達。


最後に・・・


上空のキューピッドはペルセウスとアンドロメダの愛の象徴か?







『神撃のタイタン』 #16




メドゥーサの首の入った籠・キビシスをアンドロメダの足元の岩の上に置き、



(シュッ!!



ペルセウスが飛んだ。

オリンポス十二神の内の一神ヘルメスに借りた、その名を “タラリア” という翼のあるサンダルを使って。

そして、



(ドコッ!!



二子玉(にこたま) 否 しこたま化け物の頭を足で蹴った。

しかし、全く通用しなかった。

通用するはずがなかった。

その程度の攻撃がその化け物に。

全長34メートルにもなったという記録もある、あの巨大なシロナガスクジラ級のデカサのその化け物には。

もっとも34メートルもないが、この化け物は。

ヶど、デカイ。(イメージ画を参照して、適当に想像してね : コマル)


だが、それでも充分だったのだペルセウスにしてみれば、その攻撃で。

それは化け物の注意を自分に向けるために行なった攻撃だったのだから。

もっとも、攻撃という程の物ではなかったが、こんな蹴り程度では。

ペルセウスは化け物の注意を身動き出来ないアンドロメダから引き離したかったのだ。

そしてそれは思惑通りに成功した。



(クルッ!!



その巨体からすると信じられない速さで首を回し、化け物が振り返った。

そして自分を挟(はさ)んでアンドロメダの反対側の海面すれすれまで飛び、そのままそこに留まっているペルセウスを見つめ、


「ヌッ!? なにヤツ?」


まるでコントラバスのような重低音の大声で、辺りを震撼させて吼えた。

化け物は人間の言葉が喋れたのだ。

まるでポケモンの超ーーー!! 脇役のあのニャースのように。 (『ニャーは、天才なのニャー』 つー感じで・・・)


その天才ニャース級の化け物に向かって、雲一つなく、完璧な凪(なぎ)状態の空中に留まったまま、


「わが名は、ペルセウス。 大神ゼウスとティリンス王アクリシウスの娘ダナエの息子だ」


ペルセウスが名乗った。


「ペルセウス? あぁ。 あのメドゥーサの首を獲ったとかいう、デミゴッド(半神半人)のあのペルセウスか?」


化け物が聞き返した。


「ホゥ〜。 もうあの件は知れ渡っているのか?」


「当然だ!! あのようなビッグな出来事、知れ渡らぬ訳がなかろう。 一夜にして我が耳に入ったゎ」


「一夜にして? そんなに早く?」


「決まっておる。 我らポセイドン軍の情報網を以ってすればな」


「ん? ポセイドン軍?」


「そうだ! ポセイドン軍だ!!


「それはあの海神・・・。 海神ポセイドンと何か関係があるのか?」


「あぁ。 ある!! 我らポセイドン軍は神の軍隊の中でも最強の軍。 あのビッグ・スリーと言われているゼウス、ポセイドン、ハデスの内の一神で在(あ)らせられる大海神ポセイドンの我らは直属の配下なのだ」


「つまり、お前の背後にはあのポセイドンがいるという事か?」


「その通りだ。 ワレは今、ポセイドン様の命で動いておる。 これは我らが大海神ポセイドンのご意志なのだ」


「ポセイドンの・・・?」


「そうだ!! だから、ペルセウス!! これ以上、余計な邪魔立ては許さん」


「そうは行かん!! コチラにもコチラの事情がある」


「ん? 事情!? どんな事情だ?」


「お前を倒して姫を守る」


「ふざけた事を抜(ぬ)かすな、ペルセウス!! いかに大神(たいしん)ゼウスの息子とはいえ所詮、貴様はデミゴッド。 そのデミゴッド風情のウヌごときがワレに、このワレに・・・。 大海神ポセイドンの最も信頼厚きこのワレに敵(かな)うなどと思(おも)ぅておるのか?」


「フ〜ン。 おていどん 否 失礼。 ポセイドンの最も信頼厚き・・・か。 ならばお前は、見掛けと違って侮(あなど)れんヤツという事か?」


「当たり前だ。 ワレを誰だと思ぅておる。 ん? ワレを誰だと・・・」


「怪物くん」


「クッ!? ふざけた事をー!! いいか、良く聞けペルセウス」


「あぁ、聞いてやる」


「クッ!? ああ言えば、こう言いおって・・・。 一々腹の立つ・・・。 だが・・・。 いいか!? ペルセウス!! 例えその末席を汚しておるとは言えワレは神。 そしてあの盛にして聖なる大海神ポセイドンの忠実なる僕(しもべ)、ティアマト様なるぞ」


「ホゥ〜。 神なぁ・・・。 お前は神だったのか?」


「当たり前だ!!


「それにティアマト? それがお前の名前か?」


「そうだ」


「フ〜ン。 ティアマトなぁ。 ティアマトとは又、なんとも・・・。 化け物のクセ 否 失礼。 化け物っぽいヤツのクセに名前があるとは・・・な」


「フン。 ほざけぇー!!


その言葉を最後に、怒髪を天に衝(つ)け、ティアマトが凄まじい勢いでペルセウスに向かって突進して来た。

まるで天地に響き渡らんばかりの、



(ゴーーー!!



激しい轟音を上げ、怒涛のごとく猛然と。











海を切り裂きながら・・・







つづく







『神撃のタイタン』 #17




(ゴーーー!!



激しい轟音を上げ、凄まじい勢いでティアマトがペルセウスに向かって突進して来た。

まるで海を割らんばかりの勢いだ。

そしてその体勢から、



(ビューーーン!!



ドラゴンのそれのようなティアマトの右鰭(みぎひれ)が空(くう)を切った。

狙うはペルセウスの首。


そぅ。


ティアマトはペルセウスの首を獲りに来たのだ。

ペルセウスが怪女メドゥーサにそうしたように。


だが、



(シュッ!!



一瞬早くペルセウスが宙に舞った。

ヘルメスから借りた翼のあるサンダル、あの “タラリア” を使っての大ジャンプだ。


次にペルセウスは、



(スゥー)



背中に背負っていたゼウスの曲刀・ハルペーを抜き、手に持った。

右手だ。

左手にはアテナの盾・アイギスを装着している。



(ギラン!!



妖しく輝く曲刀・ハルペー。

一般的なハルペーより、一回りも二回りも大きく重く、しかもその柄の長さは倍以上ある、ゼウスの曲刀・ハルペーが。


瞬間、



(サッ!!



宙に浮いたその場でペルセウスが反転した。



(ヒュー!!



鋭い風切り音を上げ、そのまま一気に舞い降りて来た。

そのペルセウスを下から見上げ、



(ギン!!



にらみ付け、


「クッ!?


一声唸って、ティアマトが体勢を立て直し、臨戦態勢を取ろうとした。

しかし、ペルセウスの方が早い。

上空からまるで獰猛な大鷲のように猛然とティアマトに襲い掛かった。



(ビヒューーーン!!



一気にハルペーを振り下ろした。



(ドコッ!!



鈍い音を立て、ハルペーがティアマトの体に突き刺さった。

鋼鉄の鱗(うろこ)を突き通したのだ。

流石、ゼウスの曲刀・ハルペー。

それならではの威力だ。



(グイッ!!



ペルセウスがハルペーを引き抜いた。


「グォーーーーー!!!!!


あたかも巨大なウーハーのボリュームを目一杯上げたような辺りを震撼させる巨大な悲鳴を上げ、もんどり打って、あるいは海面高く飛び上がり、あるいは海中深く沈み込み、身をくねらせ、海の中を上下左右に荒れ狂う大海獣ティアマト。

まるで手負いのイノシシのようだ。


だが、



(ドコッ、 ドコッ、 ドコッ、 ドコッ、 ドコッ、 ・・・)



ペルセウスの全く手を緩めずのハルペーによる連続攻撃。

上空から急降下し、ティアマトが海上に現れた瞬間を狙ってその頭部、腹部、背部を執拗に襲う。

それはまるで猛禽の攻撃・・・・大鷲の攻撃のようだ。

やはりペルセウスはゼウスの血を引いていた。

鷲は、ゼウスの御神鳥である。


これにはさしもの大海獣ティアマトも堪(たま)らない。

大口を開け、


「ハァハァハァハァハァ・・・」


息を荒げ、身をくねらせ、痛みを堪(こら)えている。

その巨大な体からはどす黒い血が溢れ出ていた。

それでもまだ致命傷までには至らない。

流石にあの大海神ポセイドンがこの任務に選んだだけの事はある。


しかし、ペルセウスは容赦ない。



(ドコッ、 ドコッ、 ドコッ、 ドコッ、 ドコッ、 ・・・)



全く手を緩めない、緩めようとはしない。


「グォーーーーー!!!!!


それを聞いたらその聞く者の耳を劈(つんざ)かんばかりの唸り声を上げ、身をよじらせ、ひたすら痛みに耐える大海獣ティアマト。

反撃の余地・・・全くなし。

防戦一方。

それでもまだ致命傷には至らない。

これには、今度はペルセウスが参って来た。

かなり重量のあるアテナの盾・アイギスを装着し、これ又重たいゼウスの曲刀・ハルペーを幾度となく振るったため、


「・・・ハァハァハァハァハァ。 な、なんとしぶといヤツ!? ハァハァハァハァハァ・・・」


終に、ペルセウスの息が上がってしまった。

そして潮が引いたおかげで、たまたま海面に姿を現していた近くにあった大きく、ゴツゴツしてはいるが凹凸の起伏の左程(さほど)きつくない岩礁(がんしょう)の上に降り、右手に握ったハルペーの長い刃先を岩に突き立て、左腕にアイギスを装着したまま右膝を岩の上に着き、若干首をうな垂れ、ティアマトに対し左半身の状態で呼吸を整えている。


こ、これはマズイ! 非常にマズイ!!


なんとなれば・・・


この状態は、その可能性を意味しているからだ。

ティアマトの反撃を受けるという。


そぅ。


ペルセウスのこの体勢は大海獣ティアマトの反撃を受けるという可能性を意味しているからだ。

いかにそれまで防戦一方、やられるままだったとはいえ、まだまだ底知れぬ未知の力を秘めている大海獣ティアマト。


終に大海獣ティアマト・・・


その反撃開始・・・











成るか?







つづく







『神撃のタイタン』 #18




「・・・ハァハァハァハァハァ。 どうした、ペルセウス!? それで終わりか? ハァハァハァハァ・・・。 どうやら・・・。 ハァハァハァ・・・。 ウヌの攻撃もそこまでのようだな。 ハァハァハァハァハァ・・・」


ペルセウスの執拗な攻撃を受け続け、息を切らせ、全身を自らのどす黒い血で染めながらもまだまだ余力を残しているティアマトが、あの重低音のボイスで言った。


「ハァハァハァハァハァ・・・」


ペルセウスは何も答えない。

激しい息遣いをしているだけだ。

ペルセウスのその姿を見て、ティアマトが続けた。


「・・・ハァハァハァハァハァ。 どうやらそれで終わりのようだな。 ハァハァハァ・・・。 ならば今度はワレが。 ハァハァハァ・・・。 ワレが。 ハァハァハァハァハァ・・・」


「ハァハァハァハァハァ・・・」


やはり、ペルセウスは何も答えない。

相変わらず、激しい息遣いをしているだけだ。


「・・・ハァハァハァハァハァ。 ペルセウス! 参る!!


そう言ったが早いが、ティアマトが再び、



(ビヒューーーン!!



右鰭(みぎひれ)を振るった。

疲れ切って岩礁の上に片膝着いているペルセウスに向けて。

ペルセウスから充分に離れた位置から。

つまりペルセウスの体に直接触れない場所で鰭を振るったという事だ。


だが、



(バスッ!!



脇腹が切れた。

ペルセウスの脇腹が、着込んでいた鎧ごと。

この時のペルセウスの出で立ちは今の攻撃で脇腹と一緒に切り裂かれた金属の鎧と赤マント、下半身には木簡に似た金属製のミニスカートっぽい鎧、その下に白い布製のチュニックを身に着けているだけだった。

テレビや映画の歴史物などで良く見る、古代ギリシャやローマの戦士の服装だ。

被ると姿が見えなくなるあのハデスの兜は、既にない。

手配してくれたニンフ達に返してしまった後だった。

ペルセウスは今になってそれを悔やんでいた。

だが、もう遅い。



(プッ、シューーー!!



血飛沫(ちしぶき)が上がった。

真っ赤な血だ、ペルセウスの。


「クッ!?


ペルセウスが呻いた。

同時に、



(クルッ!!



片膝着いたまま顔を上げ、横を向き、ティアマトと正対した。

その時、



(バスッ!!



今度は胸が切れた。

ペルセウスの胸が、鎧ごと。



(プッ、シューーー!!



再び、血が吹き上げた。

真っ赤な血だ、ペルセウスの。


「クッ!?


もう一度、ペルセウスが呻いた。

そして呟(つぶや)いた。


「・・・ハァハァハァハァハァ。 こ、この攻撃・・・。 ヤ、ヤツは一体、一体何を。 ハァハァハァハァハァ・・・」











その時・・・







つづく







『神撃のタイタン』 #19




「どうだ、ペルセウス!? 堪能しておるか? 我が秘術 『トナネモ・サンレピダ(風の刃)』 を」


勝ち誇ったようにティアマトが言った。

流れ出ていたドス黒い血も既に止まり、傷口も徐々に塞がり始めている。

あれ程荒かった呼吸も今は普通にしている。

恐るべき回復力だ。

そこはやはり大海獣。

人間のそれとはまるで次元が違う。


ティアマト、恐るべし!?


「クッ!?


痛みを堪(こら)えながら、ペルセウスが呻いた。

今のペルセウスに出来る事はそれでけだった。

そしてペルセウスのその姿を見て、



(ニヤッ)



ティアマトが笑った。


「では、又、味わうが良い。 我が秘術 『トナネモ・サンレピダ』 を。 喰らえ! ペルセウス!!


ティアマトが右鰭を大きく振りかぶった。

そして、


「キエィ!!


鋭い気合一閃、



(ブゥーーーン!!



振り払った。


瞬間、



(ビヒューーーン!!



ペルセウスに向け、何かが飛んで来た。

何かが。


『ムッ!?


ペルセウスがそれを凝視した。

飛んで来た何かを。


『ハッ!?


ペルセウスは驚いた。

空間が歪んで見えるのだ。

と言うよりも、無色透明の空間の中に薄い乳濁色をした透明感のある鎌の刃、それも大鎌の刃のような物が存在し、それが自分に向かって凄まじい勢いと速さを持って飛んで来ているといった風(ふう)に見えるのだ。

つまり、空気の中を余り厚みのない、僅(わず)かに乳濁色をした透明感のある鋭い大鎌の刃がペルセウスに向かって飛んで来ているという事だ。


コレ即ち、カマイタチなり。


もっと分かり易く言うなら、この攻撃はポケモンに出て来るキャラの一つ、マメパトの得意技・エアーカッターに酷似していた。


そのエアーカッターが今、自分に向け、凄まじい勢いと速さを持って飛んで来ているのだ。

しかも首に向かって。


そぅ。


再び、ティアマトはペルセウスの首を狙っていた。


『クッ!?


ペルセウスは焦った。

エアーカッターが、既に目前、目の前に迫って来ていたからだ。











だが・・・







つづく







『神撃のタイタン』 #20




一瞬だった。

一瞬の差だった。


そぅ。


一瞬だけの差だった。


「哈(ハ)ー!?


気合一閃、ペルセウスが飛んだ。

アテナの盾・アイギスを岩礁のゴツゴツした岩の突起部に、ほぼ垂直にガシッとシッカリ立て掛けて残したまま。


その時、



(バシュッ!!



鈍い音を上げ、今ペルセウスを狙ったティアマトのエアーカッターがペルセウスのいたすぐ後ろの岩を斬った。

斜めにだ。



(ズルッ!!



斬られた岩がズレながらずり落ちた。



(ドボン!! ドボドボドボ・・・)



海面に落ち、海中に沈んだ。



(ピタッ!!



空中に留まり、


「ハァハァハァハァハァ・・・」


荒い息遣いのままペルセウスはその様子を見ていた。


『な、なんと恐ろしき技を・・・!?


そう思いながら。

しかし、ティアマトの秘められた能力はまだまだこんな物ではなかった。

次の瞬間、ペルセウスはこのティアマトの闘士としての真の恐ろしさを思い知る事になる。


嫌という程・・・











に。







つづく